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尼崎市の女性の母親が宗教団体関連で持っていた印鑑。唯一処分せずに使っている=尼崎市内
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尼崎市の女性の母親が宗教団体関連で持っていた印鑑。唯一処分せずに使っている=尼崎市内
神戸新聞「スクープラボ」に寄せられた「宗教2世」の体験談
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神戸新聞「スクープラボ」に寄せられた「宗教2世」の体験談

 多額の献金。奪われた青春。親との確執。親の信仰によって苦しんだ「宗教2世」らの体験を募った神戸新聞社の双方向型報道「スクープラボ」には、多くの回答が寄せられた。その一つ一つは切実で、子どもたちが抱える問題の見えづらさがうかがえた。

■テストで100点、「神様のおかげ」と言われ

 「まさに当事者です」。女性(57)=兵庫県尼崎市=はアンケートにそう記した。

 祖父母が新興宗教に入信し、両親も信者。幼い頃から集会や合宿が当たり前の生活だった。

 疑問を持ったのは、自分が努力をしてテストで100点を取ったのに「神様のおかげ」と言われたこと。中学1年生の時には宗教団体の集まりで、ある選挙の立候補者を応援する垂れ幕があるのを見て、「何か違う」と感じた。それ以来、団体から距離を置いた。

 母もいったんは離れていたが、時を置いて、別の宗教にのめりこみ、壺や印鑑、偶像などが持ち込まれるようになった。

 母が55歳で突然亡くなったのは1994年。実業家として実入りはよかったはずが、貯金はなく、女性が母に預けていた1千万円以上のお金も消えていた。さらに200万円の借金まであった。女性が計算すると、献金などに1億円以上は使っていたとみられる。

 借金も返済でき、家族の関係が破綻することはなかったが、「宗教に傾倒する母の姿は見るに堪えなかった」と女性。「子どもや家族を愛するがゆえに、宗教にすがりつくこともあると思う。そこにつけ込んでお金を巻き上げるのは宗教でも何でもない」と憤る。

■信者である前に親として

 アンケートの回答からは他にも、親の信仰に悩んだ姿がみえる。

 「自分で宗教を選べないのは悲しい。信者である前に親として子どもの権利を守って」(芦屋市、20代女性)▽「転校まで余儀なくされ、全てのやる気をなくした経験がある」(川西市、40代女性)▽「5年前に退会し、同時に親から縁を切ると言われ、現在は親と一切の接触がありません」(神戸市、40代男性)

 宗教3世に当たる宝塚市の40代女性は、約千字にわたって体験を寄せた。信仰を隠すことに必死だった子ども時代、成長後も「親と信仰はセット」なので信仰から離れられない現実、恋愛や結婚でのカミングアウトのつらさ…。

 そうした経験を振り返り、女性は「宗教によっては、まだまだ大変な方もいらっしゃる。私のような人は隠れており、とても多いと思う。日本の社会問題として長期的に取り上げてほしい」と記した。

     ◇

 神戸新聞社は、読者の投稿や情報提供を基に取材を進める双方向型報道「スクープラボ」に取り組んでいます。身近な疑問や困りごとから、自治体や企業の不正告発まで、あなたの「調べてほしい」ことをお寄せください。LINEで友だち登録(無料)するか、ツイッターのダイレクトメッセージで投稿できます。皆さんと一緒に「スクープ」を生み出す場。ご参加をお待ちしています。

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