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「iガンマ・デルタT細胞」をがん細胞とともに培養した場合の効果を示す写真。培養直後が右列上で、16時間後の右列下ではがん細胞の多くが死滅している。左列の上下はがん細胞のみの場合(神戸大大学院医学研究科の青井貴之教授提供)
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「iガンマ・デルタT細胞」をがん細胞とともに培養した場合の効果を示す写真。培養直後が右列上で、16時間後の右列下ではがん細胞の多くが死滅している。左列の上下はがん細胞のみの場合(神戸大大学院医学研究科の青井貴之教授提供)

 神戸大大学院医学研究科の青井貴之教授(49)らの研究グループが23日、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、さまざまながんを攻撃する「ガンマ・デルタT細胞」を作製することに世界で初めて成功したと発表した。iPS細胞を使うことで大量生産が可能になるといい、将来的にがんの免疫細胞療法での使用が期待される。

 研究論文は、国際科学誌ステム・セル・リポーツ電子版に掲載された。

 ガンマ・デルタT細胞は白血球の一種で、さまざまな種類のがんを攻撃でき、正常細胞は標的としないなどの特性がある。患者の血液から取り出して増やした後、本人に投与されてきたが、増幅力に限界があり、多数の患者の治療には向いていなかった。

 そこでグループは無限に増やせるiPS細胞に着目。過去の研究でガンマ・デルタT細胞からiPS細胞を作製しており、今回はそのiPS細胞から新たな「iガンマ・デルタT細胞」を作ることに成功した。

 基となった細胞の提供者以外のがん治療で有効性を示唆するデータが出ているといい、今後、臨床研究を経て将来的な免疫細胞療法への定着を目指す。

 青井教授は、大量生産が可能になれば必要な時に用意でき、将来的に価格を抑えられる可能性があると説明。iPS細胞は遺伝子操作が可能な点にも触れ、「細胞の活性を上げるような遺伝子操作をすれば、高機能な免疫細胞療法製剤をつくることも期待できる」と話している。(津谷治英)

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