つり革、網棚、ドア…。西宮市の女性(33)にとって、電車内のすべてがあの日を思い起こさせる。乗った途端に全身が硬直した。しばらくすると、頭を抱えて叫び出したくなる。逃げ出すように降りると、どっと疲労が襲ってくる。
事故後に五回、電車に乗る「練習」をした。しかし、十分間耐えられたことがない。最初は六月上旬。夫に付き添ってもらい阪急宝塚駅へ行った。ホームに上がると、先頭車両に近いところに出た。「ここからは乗れない」。一両目で事故に遭ったことから、反射的にそう思った。
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