連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

いのちを学ぶ

  • 印刷
講演会場に並べられたさまざまな避妊具
拡大
講演会場に並べられたさまざまな避妊具
立体的な教材で性器について教える思春期保健相談士の徳永桂子さん=いずれも神戸市中央区橘通3
拡大
立体的な教材で性器について教える思春期保健相談士の徳永桂子さん=いずれも神戸市中央区橘通3
徳永さんが持参した性にまつわる本
拡大
徳永さんが持参した性にまつわる本

 全国の学校などで性教育に取り組む西宮市の思春期保健相談士、徳永桂子さん(63)の講演会が昨年11月、神戸市男女共同参画センター(同市中央区橘通3)で開かれた。「科学、安全、健康」を柱にした「肯定する性教育」の概要を紹介する。(名倉あかり)

     ◇

 3歳から性教育を始めようと提案して、幼稚園から大学、助産学科などの専門学校で性や体についてお話をしています。

 私はすべての子どもが、もちろん障害がある子どもも、自分の体について科学的に正しく学ぶ権利があると思っています。これは、保障されるべき教育の権利。話を聞いた子どもたちは「へ~自分の体ってそんなふうにうまくできているんだ」と体に興味が引き出される。学べば学ぶほど、自分の体を大切にしたいという自尊感情が育つようになる。

 自尊感情が十分に育っている子どもはいじめ、性被害などあらゆる暴力被害に遭いにくいと世界の調査で明らかになっている。性教育は学校の先生だけの問題じゃない。ぜひご家庭でも、地域でも補っていただきたい。

 2021年の国の調査によると、性交などの被害経験のある女性は6・9%、男性は1%。女性のうち、被害時期が小学校入学前から19歳までだったと答えた人は約50%。誰にも相談しなかった人は約58%に上る。

 なぜ、深刻な被害なのに、誰にも相談できないのか。長年子どもたちの相談に乗ってきて、一番多いのは「親や先生に心配をかけたくない」。子どもに一生懸命な親、寄り添っている支援者ほど、子どもは「言えない」って思う。

 だからこそ、あらかじめ皆さんの口から伝えることが必要。いろんなニュースが流れたとき、不審者情報がメールされたときでもいい。「同じようなことがあなたに起こってほしくないけど、もしそのときは勇気を出してお話してね」と。高い相談の壁を少しでも低くしてほしい。

 2番目に多い理由は「自分が悪い」。子どもは発達段階の特徴として、幼ければ幼いほど不都合なことが起こったときに「自分が悪い」と思いやすい。だからこそ、教育することが重要。

 教えてくれた人には教えてくれた内容で困ったことが起きたとき、相談できるようになる。つまり、教えるって、相談できる関係を開いていくこと。

 教えることを学校や家庭任せにせず、とにかくすべてのまわりにいる大人ができるところから教え始める。それが、子どもが「言える人がいない」と追い詰められてしまわない地域づくりにつながる。

 とはいえ、自分が子どものときに親や学校からきちっと性教育受けてきた人どれくらいいる? まず大人が学ぶことが重要です。

 プライベートゾーンの指導などである、「見せてはいけない」「触らせてはいけない」という否定的なメッセージは、望ましくない状況を脳内にイメージさせてしまう。例えば「廊下は走りません」というのも、走っている自分がイメージされてしまう。「廊下は歩きましょう」でいい。

 「~してはいけない」と学んだ子が被害に遭えばどうなる? 大人と子ども、圧倒的な力の差がある。嫌だ、逃げようと思っても被害に遭ってしまう。でも子どもは「見せてしまった自分が悪い」と思い、誰にも相談できなくなる。

 被害を言えない理由に「恥ずかしい」もある。本来、加害者側が思うことですよね。なんで被害を受けた子どもが恥ずかしいと思う?これは大人が、性器や性について語ることを恥ずかしいことだと植え付けているから。

 蒸し暑い時期、お風呂の後に子どもが「暑い!」と裸で部屋をうろうろしてるとつい言ってしまう一言。「恥ずかしいでしょ、パンツくらいはきなさい」。これ、禁句なんです。

 「性器は自分だけの大切なところだからパンツをはいて守りましょう」と言えばいい。「体は自分だけの大切なものだから服を着て守りましょう」という言い方に変えてもらったらいいんです。

 性教育は思春期に特別な教材を使って教室で受けるものだけじゃない。日常生活の中で行うからこそ、繰り返し学習できて、「私の体は大切」という自尊感情のベースが育ちます。

2022/1/8
 

天気(5月29日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 31℃
  • ---℃
  • 0%

  • 31℃
  • ---℃
  • 0%

  • 32℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ