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きょうからできる認知症対策

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古和久朋教授 いずれも70代の人の脳の磁気共鳴画像装置(MRI)画像。健康な人(左)と比べ、アルツハイマー型認知症の人(右)の脳は萎縮が進み、隙間が多くなっているのが分かる(古和教授提供)
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古和久朋教授

いずれも70代の人の脳の磁気共鳴画像装置(MRI)画像。健康な人(左)と比べ、アルツハイマー型認知症の人(右)の脳は萎縮が進み、隙間が多くなっているのが分かる(古和教授提供)

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  • いずれも70代の人の脳の磁気共鳴画像装置(MRI)画像。健康な人(左)と比べ、アルツハイマー型認知症の人(右)の脳は萎縮が進み、隙間が多くなっているのが分かる(古和教授提供)

古和久朋教授 いずれも70代の人の脳の磁気共鳴画像装置(MRI)画像。健康な人(左)と比べ、アルツハイマー型認知症の人(右)の脳は萎縮が進み、隙間が多くなっているのが分かる(古和教授提供)

古和久朋教授

いずれも70代の人の脳の磁気共鳴画像装置(MRI)画像。健康な人(左)と比べ、アルツハイマー型認知症の人(右)の脳は萎縮が進み、隙間が多くなっているのが分かる(古和教授提供)

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  • いずれも70代の人の脳の磁気共鳴画像装置(MRI)画像。健康な人(左)と比べ、アルツハイマー型認知症の人(右)の脳は萎縮が進み、隙間が多くなっているのが分かる(古和教授提供)

 高齢化の進行に伴い年々増加する認知症。厚生労働省の推計では、2025年には約700万人に達するといいます。これまで、認知症は予防できないと言われてきましたが、さまざまな研究が進み、予防的取り組みが可能なことが明らかになってきました。心身ともに健康に老いることは全ての人の願い。このシリーズでは、認知症の特性や発症リスクを減らすための生活習慣、運動法などについて、神戸大の医師や作業療法士らに聞きます。第1回は、大学院保健学研究科の古和久朋教授(47)です。(聞き手・貝原加奈)

■気になるニュースの有無が鍵

 -認知症とはどんな病気ですか。

 「記憶や判断、時間や場所の感覚など脳の能力である『認知機能』が、後天的な障害によって妨げられ、日常生活がうまくいかなくなる状態を言います。主な症状は、記憶障害や失語ですが、妄想や幻覚が出たり、攻撃的になったりすることもあります。誰もがなり得る病気で、根本的な治癒は難しいです」

 -老化による物忘れと認知症の違いは何でしょう。

 「朝ご飯に何を食べたかを覚えていなくても、食べたこと自体を覚えていれば認知症ではありません。固有名詞を思い出せないのは問題ありませんし、電気の消し忘れやトイレの流し忘れは注意障害で、認知症の判断基準にはなりません。診察では、よく本人に『今、気になるニュースは』と尋ねます。いつまでも具体的な話が出てこなければ認知症の可能性が高い。逆に、『北朝鮮と戦争になるのでは』といった話が出るようなら心配ないでしょう」

 -どのように診断する。

 「認知症は、高血圧や糖尿病のように数値で計れる病気ではありません。診断のためのチェックリストがありますが、点数が悪くても、社会生活で支障がなければ、認知症とは診断しません。例えば、80歳女性が、チェックリストでマイナスが多くても、家族と同居し、入浴や排せつがスムーズにでき、本人も家族も支障がなければ問題ないでしょう。一方で、55歳の会社員男性が、仕事のスケジュールを確認した3分後に『今日は何があるんだっけ』と話していたら、給料に見合った仕事はできません。非常に相対的な判断になるので、医師によって診断が異なることもあります」

 -認知症にはどんな種類がありますか?

 「脳萎縮が進み記憶が難しくなる『アルツハイマー型』が最も多く、幻覚や歩行困難などの症状がある『レビー小体型』、脳の血管の異常による『脳血管性』、怒りっぽくなったり、無計画な行動を起こしやすくなったりする『前頭側頭型』などがあります。脳のどの部分が影響を受けているかによって症状は変わります。脳血管性の場合、次の発作が起きないように管理すれば症状を横ばいに保てる可能性はあります。認知症は多因子疾患なので、生活習慣などの環境要因を見直すことが大切です」

 -自分で変化に気が付きますか。

 「本人には認知症という意識はなく、身近な人が気付く場合がほとんどです。ただ『どうも周囲とうまくいっていない』『いつもの自分と違う』という感覚は本人にもあるはず。普段から相談し合える夫婦や親子関係があれば、病気を受け入れやすくなります」

 -家族はどう対応したらいいですか。

 「例えばアルツハイマー型の人が、夕方になるとそわそわし始めるが、家族にはその意味が理解できないことがあります。しかし、その理由が、長年孫を迎えに行っていた習慣によるものだと分かれば、その時間を見計らって一緒に散歩に出掛けるなどして対応できる。すると本人も混乱せず、納得しやすくなります。また、小さな声でゆっくり語り掛けることで、家族の方も落ち着きます」

 ▽こわ・ひさとも 1970年、東京都生まれ。95年東京大医学部卒。2004年3月、同大大学院修了。同大学病院で認知症専門外来を立ち上げ、10年から神戸大へ。認知症専門医として一般向けに認知症予防のための心得を話す。17年より現職。芦屋市在住。

2017/11/15
 

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