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きょうからできる認知症対策

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ダイヤル型のスイッチを使った家電や、短縮ダイヤルが付いた簡易な電話機を紹介する種村留美教授=神戸市須磨区友が丘7
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ダイヤル型のスイッチを使った家電や、短縮ダイヤルが付いた簡易な電話機を紹介する種村留美教授=神戸市須磨区友が丘7

ダイヤル型のスイッチを使った家電や、短縮ダイヤルが付いた簡易な電話機を紹介する種村留美教授=神戸市須磨区友が丘7

ダイヤル型のスイッチを使った家電や、短縮ダイヤルが付いた簡易な電話機を紹介する種村留美教授=神戸市須磨区友が丘7

 認知症への対策などを神戸大教授らに聞くこのシリーズ。前回は普段の心掛けでできる脳機能の鍛え方を紹介しました。では、生活スタイルを変えることで認知症は予防できるのでしょうか。前回に続き神戸大大学院保健学研究科の種村留美教授(59)に、対策に効果のある家電製品や日常生活でできるひと工夫を聞きました。(聞き手・田中宏樹)

 -家電製品は生活に欠かせません。

 「認知機能が下がると、複雑な操作の家電は次第に使えなくなります。操作を覚え直せなくなると新しい機器に対応できず、家電の使用を避けてしまいがち。前頭葉を活性化させて認知症を予防するためにも、苦手意識を持たずに、元気なうちから新しい機器に慣れるようにしましょう」

 -高齢者でも抵抗なく使える家電はありますか。

 「私たちの調査では昔のテレビのように、スイッチのオンオフや強弱の調節をダイヤル式で操作できる家電が使いやすいという結果が出ました。高齢になると高音が聞こえにくくなり、皮膚の感覚も鈍くなるのでタッチセンサーの使用は難しいです。高機能や多機能の製品ではなく、電子レンジであれば『あたため』のボタンを押すだけで温められるなど、操作がシンプルな機器がよいでしょう」

 -携帯電話やパソコンはどうでしょうか。

 「画面上の数字を押せば、短縮ダイヤルで登録先へ電話ができるスマートフォンが販売されています。息子や娘の連絡先を登録しておけば、何かが起きた時にすぐに連絡できるので安心感にもつながります。スマホやパソコンでインターネット電話『スカイプ』を使うと、遠くに住む子どもや孫、友人とも話せます。誰かとコミュニケーションすることで笑顔も生まれ、脳が活性化するので、元気なうちからチャレンジしてほしいですね」

 -認知症を防ぐために、実践したい日常のひと工夫はありますか。

 「高齢で1人暮らしだと生活の中で日時を意識することがなく、認知症を発症するとごみを指定日と異なる日に出すなどの症状も出てきます。健康なうちから曜日感覚を保つことが大切で、ごみ出しの日をカレンダーに記すことも有効です。『今日の日付ぐらいすぐに思い出せるわ』と過信していると、認知機能が落ち始めた時に自身の変化に気付けません。曜日や日時を意識して生活することが重要です」

 -認知症になると同じ食品を繰り返し購入することもあります。

 「冷蔵庫の整理を習慣的に週に1度は行い、残っている食品やそれぞれの賞味・消費期限を把握するようにしてください。物事を計画して実行する脳の遂行機能を働かせるためにも、出掛ける前に冷蔵庫の中身を確認し、無駄がない買い物を心掛けるとよいでしょう」

 -高齢になると外出がおっくうになる人もいます。

 「自宅に引きこもりがちになると笑う回数が減り、前頭葉が刺激される機会も減ります。なるべく外へ出掛け、誰かとあいさつしたりおしゃべりしたりする時間を持ちましょう。自宅では1日3食をしっかり取ってお風呂にも入り、生活のリズムが崩れないようにしてください。さらに、日常で1日に1回は新しいことに取り組むことが認知症予防に効果的です。料理をしたり新聞を切り抜いたり、普段見ないテレビ番組を見たりするなど小さなことで構いません。生活の質を高め、毎日生きがいを持って暮らしてほしいと思います」

2018/6/20
 

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