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きょうからできる認知症対策

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神戸大大学院保健学研究科の木戸良明教授 神戸新聞NEXT
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 認知症への対策を神戸大教授らに聞くシリーズ。前回は認知症の発症につながる肥満や高血圧の予防法を紹介しました。生活習慣病の一つである糖尿病も認知症を引き起こすリスクを高めるとされています。今回は内科医で神戸大大学院保健学研究科の木戸良明教授(58)に、普段の心掛けでできる糖尿病の予防策などを聞きました。(聞き手・田中宏樹)

 -糖尿病の症状は。

 「血中のブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高い病気です。正常であれば、すい臓から出されたインスリンがブドウ糖を血中から筋肉や脂肪に押し込み、血糖値を調整します。ところが、肥満になると脂肪の細胞が大きくなってブドウ糖を取り込めなくなります。そうすると、インスリンはたくさん分泌されるのに効かない状態となり、血糖値が上昇します。糖尿病の有病者は約1千万人。一歩手前の予備群はやや減少傾向にありますが、それでもほぼ同数の約1千万人いると考えられています」

 -糖尿病と認知症との関係は。

 「糖尿病の人は、アルツハイマー型の発症リスクが正常な人の2~4倍に高まると報告されています。複数の要因が考えられ、一つにはインスリンを分解する酵素が挙げられます。この酵素は、アルツハイマー型の原因となる脳のタンパク質『ベータアミロイド』も分解します。しかし、高血糖になると酵素はインスリンを分解する働きを増やし、ベータアミロイドへの働きは弱くなります。そのため、脳に『老人斑』と呼ばれるシミができやすくなり、アルツハイマー型の発症につながります」

 -血管性認知症のリスクは。

 「糖尿病の人は血圧が上昇しやすい上、血糖値が高い状態が続いて動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞も起こりやすくなります。その結果、脳の血管が障害を受けて起きる血管性認知症の発症率が高まります」

 -糖尿病を予防するには。

 「まずは自分の体の状態を知ることから始めましょう。朝や就寝前など決まった時間に体重を毎日計測し、スマートフォンのアプリなどで歩数を記録します。遅くとも40歳を過ぎたら必ず定期健康診断を受診してください。血糖値が高めだったりメタボリック症候群の可能性があったりすれば、規則正しい生活をして食事や運動に気を使いましょう」

 -食事で気を付けることは。

 「3食の摂取カロリーをなるべく均等にするのが重要です。インスリンはすい臓のランゲルハンス島という組織にある細胞で作られます。どれか1食に偏るとインスリンを一気に出さなければならず、分泌する細胞への負担が増えます。この細胞はもろく、加齢とともに減少してすい臓の機能を低下させるので、若いうちから大事にする必要があります。食事は野菜から食べ始めることで、血糖値の急上昇を抑えられます」

 -運動はどうすれば良い。

 「50歳未満は心拍数が1分間で100~120程度の有酸素運動を、1回15~30分で1日に2回行うのが良いとされています。具体的には少しはや歩きの散歩やプールでの水中ウオーキングです。これらの運動は筋肉が血糖を取り込む能力を上げるために行い、数日は効果が続くとされるので、毎日でなくても週に3~5日で効果があります。50歳以上は心拍数が1分間で100回程度までの運動が推奨されています。認知症を予防する観点からも、誰かと一緒に話をしながら散歩をする習慣を付けるのが良いですね」

【きど・よしあき】1959年、大阪府豊中市生まれ。86年、神戸大医学部卒業。同大病院で糖尿病専門医として生活習慣病の診療に携わる。市立伊丹病院での勤務などを経て2010年から現職。16年に同大大学院保健学研究科研究科長に就任。神戸市西区在住。

2018/10/17
 

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