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<大阪・関西万博 2025>万博彩る神戸の最先端技術 縦横無尽 リニアエレベーター 「ナノ粒子」活用 環境配慮塗料 アトピー性皮膚炎患者用肌着
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 次世代技術発信の場でもある大阪・関西万博で、神戸発の研究成果が注目を集めた。縦横無尽に移動できるリニアモーターエレベーター、シロアリの腸内微生物を活用した水素生成技術…。神戸で磨いた最先端技術が未来を描いた。(岩崎昂志、久保田麻依子)

 リニアモーターを動力にエレベーターを開発しているのは、専門職大学院「神戸情報大学院大学」(神戸市中央区)のマルコン・シャンドル教授(76)。ベンチャー企業「リニアリティー」(京都市)を起業し、9、10月に万博会場で実験機(高さ約2・5メートル)を展示した。

 ロープや滑車を使わず、キャビン(かご)がリニアモーターで昇降。垂直だけでなく横や斜め、曲線的な動きもできる。複数のかごを同じ昇降路で動かせ、乗客を運ぶ効率が高まる利点を強調する。

 マルコン教授は2007年、建築家高松伸氏が打ち出したリング状の施設のコンセプトを知り、その実現に不可欠な自在に動くエレベーターの研究を本格化。トルコの電子機器工場で導入計画が進む。

 同大学院によるとエレベーターは1853年のニューヨーク万博で蒸気式が紹介され、パリ万博と同じ89年に電動式が開発された。再び万博で技術が披露され、マルコン教授は「エレベーターという言葉を脱し、自由に動けるモビリティーを目指す」と情熱を注ぐ。

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 神戸大は9月末から10月上旬、次世代技術や社会システムの実証に向けた万博のプロジェクトの一環でブースを出展した。

 同大大学院工学研究科の杉本泰准教授(36)=電気電子工学=が取り組むのは、シリコン(ケイ素)が主成分の「ナノ粒子」を活用した環境配慮型の塗料の開発。半導体を主軸に研究していた際、ナノ粒子の大きさを変えると多彩な色に変化する構造に着目した。

 少量でも発色し、退色しにくく、有害物質が出にくい。杉本准教授は「自動車や航空機、化粧品、フィギュアなど広い用途が期待できる」と話す。

 会場では、同大起業部のチームで、シロアリの腸内微生物を活用した水素生成事業を目指す「HIM」(ヒム)、

アトピー性皮膚炎の人向けの肌着を開発する「SkinNotes」(スキンノーツ)のメンバーも事業をアピール。スキンノーツ代表の竹内悠人さん(23)は「アトピーの患者さんの悩みに特化し、他社にない製品作りに努めたい」と力を込めた。

2025/10/10
 

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