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朝鮮戦争で機雷掃海に加わった嶋田好孝さん=神戸市中央区東川崎町1(撮影・風斗雅博) 戦死した中谷坂太郎さんが乗っていた掃海艇「MS14」(中谷藤市さん提供) 神戸新聞NEXT
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朝鮮戦争で機雷掃海に加わった嶋田好孝さん=神戸市中央区東川崎町1(撮影・風斗雅博)

戦死した中谷坂太郎さんが乗っていた掃海艇「MS14」(中谷藤市さん提供)

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 1950(昭和25)年、占領下にあった日本の機雷掃海隊が朝鮮戦争(50~53年)に派遣された事実は、あまり知られていない。米軍の要請を受け、平和憲法の下で遂行された「極秘任務」。掃海艇など延べ54隻、元軍人ら延べ約1200人が従事した。掃海中に触雷し、亡くなった乗組員中谷坂太郎さんは、戦後唯一の「戦死者」となった。シリーズ「戦争と人間」第9部は、旧海軍の元軍人で、機雷掃海に出動した嶋田好孝さん(91)=神戸市兵庫区=の語りを届ける。(森 信弘)

 50年の9月末か10月初めだったか。戦後、創設された海上保安庁で第5管区海上保安本部(神戸)に所属する嶋田さんは、米軍が太平洋戦争中に投下した機雷の掃海をするため、大阪湾の船上にいた。デッキの甲板員を統括する甲板長だった。

 「艇長から『おい嶋田、明日、神戸へ回航して燃料と真水、食料を積んだら翌朝に横須賀へ直行するぞ』と言われたんです。何かあったんかなと思いましたけど、兵隊育ちは上官に理由を聞いたりしません。24時間以上かけて横須賀へ着いた次の朝、第3管区(本部・横浜)のジープが迎えに来たんです。東京まで連れられ、降ろされたのは、海図を作っていた旧海軍の水路部があった場所でした」

 海上保安庁によると当時、そこは同庁の水路部となっていた。

 「係の男性から持って帰ってください、と渡されたのが海図です。朝鮮半島全体や北朝鮮の東岸にある元山のものが何組か。元山を見た時、これは敵前掃海しかない、とピンときたんです」

 米軍中心の国連軍と韓国軍は、北朝鮮軍が敷設した機雷に手を焼いていた。当時の大久保武雄・海保長官が、掃海隊派遣を明らかにした回顧録「海鳴りの日々」(78年)によると、米極東海軍から朝鮮水域での掃海を要請されたのは10月2日。吉田茂首相はこれを受け入れた。海上自衛隊は、まだない。派遣部隊は「特別掃海隊」と名付けられた。

 「海軍の新兵時代、敵前掃海をやれば勲章がもらえると聞いてました。機雷掃海の任務に変わりはないんだから緊張はしません。瀬戸内海だろうと、敵前掃海だろうと関係ないんですよ。行くだけだと思いました」

 その後、マッカーサー連合国軍最高司令官名による指令も出される。大久保長官の回顧録は「(日本は連合国との)講和条約の締結前で、国際的にも微妙な立場にあったので秘密裏に行うこととなった」としている。

 「神戸に戻り、艇長から朝鮮方面での機雷掃海について説明がありました。連合国軍総司令部(GHQ)の指揮下に入って出動する、と。生命は保証できない。行きたくない者は転勤希望を出すよう、部下に確認しろと言われたんです」

 当時の能勢省吾・第5管区海上保安本部航路啓開部長の手記によれば、配下の掃海艇は、10月5日に下関港(山口県)に到着している。その中に嶋田さんの乗る「MS(マイン・スイーパー)03」の姿もあった。掃海艇は、日本各地から人知れず集結しつつあった。

 【朝鮮戦争】1950年6月、韓国と北朝鮮が米ソ対立を背景に衝突。それぞれ米軍を主体とする国連軍と中国人民志願軍の支援を受け、国際紛争に発展した。日本は米軍の戦時関連物資の調達先となり、「朝鮮特需」による好景気がもたらされた。53年7月に休戦協定が結ばれ、朝鮮半島は北緯38度線に代わって軍事境界線と非武装地帯で南北に分断された。

2016/12/7
 

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