成人未満 第4部 少年事件記録の行方

3人が正面に並んだ姿は、法廷を思わせた。神戸連続児童殺傷事件をはじめとした重大少年事件の記録廃棄問題を受け、5月25日に最高裁が開いた調査報告の記者会見。実際、中央に座った小野寺真也総務局長も、両脇を固めた同局の南宏幸参事官や川瀬孝史第二課長も、全員が裁判官だ。だが裁判と違った。3人は起立し、謝罪する。深々と頭を下げた時間は約15秒。記者が戸惑うほど長い沈黙が流れた。(霍見真一郎)

裁判所は当初、問題への対応を甘く見ていた節がある。神戸新聞が神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄を報じたのは、昨年10月20日。神戸家裁は「適切ではなかった」とコメントしたが、「現在の特別保存(永久保存)の運用からすると」と、あえて前置きした。最高裁も「当時は特別保存の選定手順などを具体的に定めた運用要領はなかった」と強調した。記録廃棄問題は、「既に終わった話」とする思惑がにじんでいた。
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