各候補 「復興度」でばらつき
「小泉旋風」と景気回復などの全国的な課題に押され、参院選の争点に「復興」の影は薄い。神戸新聞社が行ったアンケートやインタビューなどで、各政党・候補者は、ハード面よりも生活や住まいといったソフト面を課題に挙げるが、それぞれが示す「復興度」は30・70%とばらついた。具体的な公約への言及は限られたものになっている。
震災を機に成立した「被災者生活再建支援法」は、アンケートに答えた兵庫選挙区の全候補が「不十分」と答えたが、具体的な改善案を示したのは、新社、民主、共産の三候補。支給要件の緩和や給付の増額を挙げる。
先の国会で法案提出が見送られた「住宅再建支援制度」。住宅所有者が掛け金を支払う「共済型」を提唱するのは自民候補。公費を投入する「基金方式」は民主、共産候補は「公費負担」。両方を合わせた「税・所有者負担」は新社、自由連合候補、と見解が割れた。
いずれの政党・候補も、現状を「復興は遅れている」とするトーンは一致。一方、震災以外の要因や、支援への「行政上の限界」を挙げる候補もおり、取り組みへの濃淡があらわになっている。
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震災後の主要選挙 優先度徐々に下がる
◆知事選
前回の知事選(一九九八年十月)では、現職が「コミュニティーづくりや高齢者ケアの支援」を重点的に訴えた。共産系の新人は「被災者自立支援金制度を拡充し、全壊五百万円、半壊二百五十万円の支給に全力を挙げる」とアピール。同年五月に成立した被災者生活再建支援法も「不十分」と批判、抜本的改正を国に求めるとした。
◆国政選挙
震災後初の国政選挙となった九五年七月の参院選では「公的支援」の必要性を強調する候補と、その点には踏み込まない候補に二分。復興と関連し、神戸空港建設の賛否もテーマとなった。翌年十月の衆院選では、神戸新聞社の調査に対し、ほとんどの候補者が「何らかの形で被災者への個人補償をすべき」と回答。どの陣営も被災者支援を前面に掲げた。
同年十一月の参院補選では、自民などの推薦を受けた元副知事の新人と共産の新人が大接戦。元副知事が約二万七千票差で制したが、神戸、尼崎市では「住専への公的資金投入より被災者救済を」と訴えた共産新人の得票が上回った。
九八年七月の参院選では、訴えの中心は「景気対策」に。直前に成立した被災者生活再建支援法の評価は大きく分かれた。昨年の衆院選では「復興対策は最重要課題でなくなった」との声が複数陣営から聞かれた。震災から五年が経過、関連融資の一部返済が始まったことから、複数の候補が返済期限延長を訴えた。
2001/7/17