阪神・淡路大震災から十年を前に、神戸新聞社は、定点調査を続けている神戸市内の激甚被災地二地区の計千世帯を対象に、「震災十年・被災者追跡アンケート」を実施した。その結果、被災地全体の復興状況について、47%が「取り残されている部分がある」と答え、16%が「遅れている」と回答。大半の被災者が、復興はまだ途上と感じていることが明らかになった。
調査は昨年十一月に実施。震災で約九割の家屋が全焼・全壊した神戸市須磨区の千歳地区、二百五十九人が犠牲となった同市東灘区の深江地区で、郵送や訪問などで計千世帯にアンケートを配った。回収率は28%。
震災から十年を迎え、節目の時期といわれるが、被災地全体の復興状況について、6%が「完了した」、26%が「順調に進んでいる」と回答。これに対し、「取り残されている部分がある」「遅れている」は計六割を超え、停滞感を持っている人が少なくない。
さらに、地域の復興状況をたずねたところ、復興土地区画整理事業がまだ完了していない千歳地区で31%が「遅れている」と回答。深江地区は6%で、地域によって復興状況への見方が違うことを示した。
残った課題(複数回答)では、「高齢者への支援」「まちの活性化」を四割前後の人が挙げた。十年で町が大きく変化したこともあり、「住民のつながり(コミュニティーづくり)」が続いた。
昨年は台風23号や新潟県中越地震などの災害が相次いだ。これらの災害で、行政などが阪神・淡路の教訓を生かした対応ができたかについて、ほぼ半数が「ある程度できている」と評価したが、「あまりできていない」も37%あった。「全くできていない」は5%。
十分でなかった理由としては、「食料や毛布など支援物資がうまく行き届いていない」「避難誘導が不十分」などの意見が目立った。新潟で仮設住宅入居を地区単位にしたことを評価する声もあった。
2005/1/11