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 兵庫県と神戸市の実態調査報告書では、「もっと目を向けてほしかった」と孤立感を訴える声が目立つ一方、アンケートの回答が90人と少なく、救助や治療の遅れと障害との因果関係を見いだしにくいなど、調査の限界も浮かんだ。

 負傷原因の6割は家屋倒壊と家具転倒。クラッシュ症候群のリスクが高まる3時間以内に救出された人は24%にとどまり、48時間以上が4%いるなど、救助までに時間がかかった人が多い。また7割が転院を経験。発生直後に受け入れる病院がなく、転々とした様子が浮かぶ。

 災害障害見舞金(最大250万円)の対象になる障害1級は16・5%。大多数は不受給となり、経済的支援からも抜け落ちていた。

 身体障害が確定するまでに震災から13年かかったケースも。将来、震災で障害者になった人に必要なサービスは「こころのケア」(18%)が「医療体制」(11%)を上回り、周囲の無理解で精神的に追い詰められた経験を繰り返さないよう求めた。

兵庫県はフォロー継続へ

 実態調査で浮かんだ教訓はどう生かされたのか。県は12年度、地域防災計画を改定し、災害時の支援対象に初めて「震災障害者」を追加。災害発生後、心のケアや医療など総合的に支援するよう位置づけた。

 また、昨年5月には東日本大震災の被災地に震災障害者を早期に把握するよう提案。これを受け、被災3県は1年目から実態把握に努めている。

 一方、実態調査報告書では、心のケアや福祉、経済を含む総合的な支援体制の再検討が必要としたが、体制づくりは進んでいない。柏由紀夫・県障害福祉局長は「調査は終わるが、震災障害者へのフォローは続ける。身障者手帳の申請時の書類を工夫することで速やかに把握する取り組みは、全国に普及する努力をしていきたい」と話す。

2012/10/28
 

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