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震災関連死 繰り返される無念

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 22年前は、直面した「死」にぼうぜんとするしかなかった。

 西宮市出身の弁護士在間(ざいま)文康さん(38)は阪神・淡路大震災の発生時、高校1年生だった。自宅被害は少なく、父親と2人で近くの倒壊家屋へ。2、3人を助け出したが、1人は息絶え、毛布でくるまれていた。「被災者の話を聞くと、今もその光景が出てくるんです」

 2012年3月、岩手県陸前高田市に赴任した。東日本大震災発生から1年の被災地で、向き合ったのは「震災関連死」だった。

 市町村などが設置する審査会が、遺族からの申請を受けて災害弔慰金の支給を認め、初めて震災関連死と扱われる。ただ、その明確な基準はなく、認定された死の裏に、もっと多くの死者がいる。

 在間さんは、却下された事例の再申請や認定を求める訴訟に関わる。岩手県山田町では審査会委員も務めた。

       ■

 どうすれば、次の災害で関連死を防げるのか。その答えの代わりに、在間さんは自身が関わった岩手県内の2例を挙げた。

 震災発生から半月後、くも膜下出血で死亡し、再申請で関連死と認められた大船渡市の男性=当時(34)。津波で半壊した自宅の一部屋に家族や親類6人が身を寄せ合い、過酷な生活を送っていた。在宅避難者が支援の網から漏れている状況が浮き彫りになった。

 震災8カ月後にくも膜下出血で死亡し、訴訟を経て関連死と認められた陸前高田市の男性=当時(56)=は、自宅は無事だったが、自営の店舗が流失。収入が途絶え、事業ローンの返済や子どもの学費の支払いに追われていた。その死は、公的支援制度の対象が住宅被害に偏っていることに疑問を投げ掛ける。

 「被災者支援策は、まさに命に関わる」と在間さん。「関連死に認められることで、今後同じような死を減らせるかもしれない」

 そのためには、各審査会で災害弔慰金支給の可否を決めるだけでなく、事例を教訓化する必要がある。だが昨年4月の熊本地震では、関連死を認定した熊本県内の4町が、死に至った状況について「個人の特定につながる」と公開しなかった。「熊本県や大学などにも明らかにしない」とする町もあった。

 内閣府や消防庁は関連死者の人数すら全ての災害では把握していないが、教訓化には「国が先頭に立って取り組むべきだ」と訴える在間さん。「日本ではいつどこで災害が起きるか分からないのに、多くの人が目を背けている。被災地を経験した私には、声を上げる責任がある」

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 私たちにもできることがある。

 自宅を耐震化すれば、被災しても生き残れる可能性が高くなる。日頃から近隣とのつながりを深めていれば、いざというときに助け合いやすい。避難所で周りに目配りしていれば、体調が悪化した人に早く気付ける。

 震災のせいにするだけでは、無念の死は繰り返す。行政や医療・福祉関係者らとともに私たち一人一人が、守れたはずの命に向き合わなければならない。

(高田康夫、阿部江利)

=おわり=

2017/1/19

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