父が亡くなったとき、私は7歳だった。当時、悲しみというよりは、母を失う恐怖を強く感じたことを覚えている。この人を亡くしたら私は生きられないのではという子供ながらの危機感だったのか。それ以来、毎日母の長寿を祈り続けてきた。
おかげさまで現在92歳の母とはまるで姉妹のようにランチをしたり、旅行をしたりと何気ない日常を共にし、思春期にはそれなりの喧嘩(けんか)をすることもできた。それがどれだけ有り難いことか。老いていく姿を見せてくれることさえ長生き故のことなので、私にとっては感謝しかなかった。
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