北播

巨木にサギ類が巣作り、ふんや鳴き声悩みの種に

2021/01/27 05:30

 佐保神社(兵庫県加東市社)にある樹齢数百年のケヤキを見上げると、無数の黒い固まりが見える。実はサギ類の巣。冬の間は鳥はいないが、春から巣作りを始める。長く鳴き声やふんに悩まされてきた地域住民と神社。このため、同神社は2月中旬から、ケヤキや巣作りの可能性のある木の枝切りを始める。(中西大二)

 サギ類は春から夏にかけて集団営巣する。同神社や周辺住民にとって長い間、鳴き声や大量に落ちるふんは悩みの種。ふんで枝が腐り、下草が生い茂るなど管理も大変になっていた。

 同神社では9年前にも同様の問題が起こり、境内の木の枝を切ったが、その後、ケヤキに営巣。その数年前には近くの善龍院でもサギ類が巣を作り、景観形成や倒木対策もあって営巣前に木を伐採した。同神社の関係者は「いたちごっこの状態が続いている」と話す。

 鳥獣保護法は、野鳥の捕獲や殺傷を禁じており、同神社では営巣前に枝を切る。加東市も問題視しており、台風などの災害対策を兼ねて、神社近くにある「明治館」のコナラの枝を払う予定。今回、神社が管理する周辺の木も合わせて計17本が対象となる。

 この事態に、播磨の野鳥に詳しい西播愛鳥会の三谷康則幹事(72)は「開発によって人里の営巣しやすい大木が少なくなったため、神社の木は格好のすみかなのだろう」と分析。県鳥獣対策課によると、各地でも同様の問題が起きており「巣作り前に枝を切るなどの措置を取ることが多い」という。

 同神社では来夏、本殿の改装工事を予定し、県重要文化財指定も視野に入れる。吉村進吾代表責任役員(77)は「神社はまちの象徴。問題があるところは今のうちに改善し、次世代へつないでいきたい」と話す。

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