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「キハ40形」再出発を鉄道ファンら祝福 東北で引退、漂うレトロな雰囲気

2022/03/14 21:20

 北条鉄道(兵庫県加西市)に新たに導入されたディーゼル列車「キハ40形」が13日、デビューし、鉄道ファンらを乗せて特別運行した。東北を走るJR東日本五能線から譲り受けた列車は、国鉄時代からのレトロな雰囲気を漂わせながら、のどかな田園風景を走行した。(敏蔭潤子)

 北条鉄道は単線で全長13・6キロ。2020年に車両が行き違いできる施設を整備し、朝夕に増便した。これまで3両を保有していたが、増便に対応するため新たな車両が必要になった。

 同鉄道は、白神山地や日本海沿岸を約40年間走り、昨年3月に引退した同車両に目を付け、JR東日本から購入した。国鉄時代に製造された「キハ40形」は鉄道ファンの注目を集め、車両購入費を目的に実施したクラウドファンディングでは、目標の300万円を大きく上回る1302万円が集まった。

 車内には、東北の路線図のほか、津波警戒を呼び掛けるステッカー、秋田車両センターの判が押された書類などを残した。直角型の座席シートも座席番号も変えず、鉄道ファンを楽しませる。

 特別列車出発に先立ち、北条町駅で行われたセレモニーでは、同鉄道社長で加西市の西村和平市長が「小さくて赤字のローカル線ですが、いろんなイベントをして黒字にしたい。みなさんの力で大きく育ててほしい」とあいさつ。駅には出発の瞬間を捉えようとカメラを構える人が並んだ。キハ40形をかたどった紙箱に入ったワッフルや鉄印帳、クリアファイル、ノートなどを記念に購入する姿も見られた。

 車内では、加古川市在住のタレント・スパイシー八木さんが案内役を務め、国鉄時代から残るオルゴール音を鳴らし出発。初日は3便が運行し、計108人が乗車した。乗客は窓を開け、田園風景を眺めながら、姫路おでんや明石焼きが入ったご当地弁当を堪能した。

 キハ40形の絵を描いた旗を手作りした北条小1年の男子児童(7)は「北条鉄道の運転士になりたい。窓の外がきれいに見えるキハが好き。いろんな人に乗ってほしい」と話し、沿線から手を振る人たちに応えていた。

 田んぼのあぜなど沿線でカメラを構える人たちも多く、車両が行き違う法華口駅で撮影した神奈川県の会社員(41)は「五能線に行けなかったので移転先に来た。田舎の風景がよく似合う。桜の季節はもっときれいだろう」と話した。

 キハ40形は16日から定期運行する。

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