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闘竜灘の中州で取り残された人を救出する消防隊員=3日午後、加東市上滝野
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闘竜灘の中州で取り残された人を救出する消防隊員=3日午後、加東市上滝野
闘竜灘の岩場に取り残された人を救助する消防隊員=3日午後3時35分、加東市上滝野
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闘竜灘の岩場に取り残された人を救助する消防隊員=3日午後3時35分、加東市上滝野

 加古川中流の闘竜灘(兵庫県加東市上滝野)で3日、男女7人が中州に取り残された水難事故。神戸地方気象台によると、事故発生時間帯の現場付近の降水量は0ミリだった。雨が降っていない状況だったが、川は急激に増水し、命の危険が迫った。(伊田雄馬)

 奇岩が並ぶ景勝地として知られる闘竜灘は、川岸から簡易の橋が設置され、中州の岩場まで歩いて渡ることができる。男女7人が岩場に上っていた3日午後2時半ごろ、加古川は突如増水。濁流が橋を覆い、7人は川岸に戻れなくなった。

 近くの橋や川岸から近隣住民が見守る中、県の防災ヘリが出動。消防隊員が降下し、要救助者と自身の体をロープで縛り付け、1人ずつ川岸へと避難させ、全員が無事に救助された。

■堤防内の増水、避難情報に該当せず

 同日、加東市から近い神戸地方気象台西脇観測所では午前10時までの1時間に降水量17・5ミリを記録したが、正午までは1ミリ、正午以降は0ミリ。雨はやみ、天候は曇りだった。事故を目撃した40代男性も「自分の子どもを(岩場で)遊ばせても構わないと思うくらいの天気だった」と振り返る。

 救助に当たった北はりま消防本部は「上流部で降った雨水が時間を置いて流れてきた」と説明する。加古川をさかのぼると、同県西脇市黒田庄町から丹波市へとつながる。丹波市では3日午後、2014年の丹波豪雨に匹敵する雨量が観測され、正午ごろまでの1時間に柏原で84ミリの雨量を記録した。

 一方、加東市が防災行政無線で河川への警戒を呼びかけたのは午後5時15分。同市では加古川の板波観測所(西脇市)の計測結果を参考に避難情報などを発令するが、あくまで「洪水によって周辺の民家に影響が及ぶか」を注意喚起の基準としている。このため堤防内の増水は、避難情報に該当しないという。

■リアルタイムで危険を知らせる方法

 県内では2008年7月、神戸市灘区の都賀川で水難事故が発生。晴天から一転して豪雨となり、水遊びをしていた園児ら5人が犠牲になった。事故後、大雨や洪水注意報発令を知らせる回転灯や電光掲示板が設置され、水辺から離れることを呼びかけている。

 加東市商工観光課によると、闘竜灘では台風接近などで増水が見込まれる場合は事前に立ち入りを禁止してきた。事故を受け「雨が降っていなくても増水する可能性がある」と注意を呼びかける看板の設置を決め、「観光客にもリアルタイムで危険を知らせる方法を検討したい」としている。

 関西国際大学の村田昌彦教授(地域防災減災論)は「局地的な豪雨が増える中、同様の事故は今後も予測される。レジャーなどで川に近づく際は、雨雲レーダーで上流域の雨雲の動きに注意を払うべき」と呼びかける。

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