100年以上の歴史がある岡村酒造場(兵庫県三田市木器)で、新酒の仕込みが本格化している。家族で営む小さな蔵で、三田では唯一の造り酒屋となった。夜明け前から酒米を蒸し、冷ました後に室(むろ)でこうじをつくる。すでに発酵が進んだタンクも並び、ひんやりとした蔵に香気が漂う。(土井秀人)
毎年変わらぬ光景だったが、今年は違う。岡村理恵さん(46)が6代目当主となり、初めての仕込みとなった。先代で父の隆夫さんは今年6月、病気のため78歳で亡くなった。ずっと二人三脚で岡村酒造場の酒を造ってきた。
4姉妹で一番下の理恵さん。小さな頃から父に呼ばれると「子分のようについて行った」。物心ついた時には家業を手伝っており、生活の一部となっていた。
誰かが継がなければ、とは思っていた。ものづくりが好きで、父と同じ東京農業大学短期大学部で醸造を学んだ。卒業後に三田に帰り、2人での酒造りが始まった。
創業は1889(明治22)年で、銘柄「千鳥正宗」は大正時代から続く。戦後の高度経済成長期には、大手酒蔵から委託された製造もしていた。納入先の銘柄で販売される「桶(おけ)売り」という仕組みで、多くの中小蔵が桶売りに頼っていた時代だった。岡村酒造場も冬場になると「杜氏(とうじ)」「蔵人」と呼ばれる職人らが5~6人訪れ、住み込みで働いた。
しかしビールや洋酒の人気が広がり、日本酒の需要に陰りが見える中、隆夫さんは自分一人で醸造ができるよう機械化を進めた。理恵さんが生まれる前のことで「いつか桶売りの時代ではなくなる。こだわった自分の酒が造りたい、と思っていたんでしょうね」。蔵人の経験や勘を機械に置き換えるのは容易ではなく、試行錯誤を重ねた。生産量を減らし、昭和50年代には家族と手伝ってくれる近所の人だけで造るようになった。
午前8時、こうじ室。理恵さんと姉の2人が蒸した米を布の上に広げ、丁寧にほぐしていった。だまになっているところは手のひらで押して崩し、均一にしてこうじ菌を振りかける。「一麹(こうじ)、二酛(もと)、三造り」とされるほど、味を左右する大事な工程だ。
「全責任があるからプレッシャーを感じる時もあるけど、心づもりはしてきた。それに、仕込みが始まるとやらなければならないことに追われて、考えている時間はないんです」。作業を終えた理恵さんがほほ笑んだ。
20年以上、父と一緒に造ってきた。職人気質の隆夫さんは指示する時、「おい、これ」とだけ。あうんの呼吸で理恵さんが応じ、流れるように作業を進めた。段取りや感覚は体に染みついている。それでも。「この時はどう?」と聞ける人は、もういない。
醸造は11月~翌年1月末まで行い、約1万8千リットルを造る。近所の人が仕込みを手伝ってくれ、機械のメンテナンスまでしてくれる。ほとんどが三田で流通し、地域で愛されて続いてきた蔵だ。
酒米「五百万石」は自前の田で栽培。米の味がしっかりして、こくのある酒を目指している。ここ数年は、中学生や専門学校生の娘も朝起きて手伝ってくれるようになった。一人でも造れるよう父がしつらえた蔵に立ち、理恵さんは言った。「岡村酒造場の、三田の酒を守っていきたい」
間もなく新酒の季節がやってくる。
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