インターネットによる選挙運動の解禁後では初の衆院選。兵庫11、12区の全候補者が、交流サイト「フェイスブック」や、短文投稿サイト「ツイッター」などを活用している。有権者にとっては情報を得る手段が増えた格好だが、発信する陣営側はまだ試運転状態。13日の投開票前日まで、手探りの電脳戦が続く。
知名度が低い新人にとって、一度に多くの人にアピールできるネットは魅力的だ。特にネットを盛んに利用する若い世代に訴えの浸透を狙う。
11区自民新人の頭師暢秀候補(44)の陣営は、公示の前日、個人用とは別に、選挙用のフェイスブックを急きょ立ち上げ、演説などの様子を投稿する。同区の共産新人、苦瓜一成候補(61)は、開設したままだったフェイスブックの更新を始めた。若い陣営スタッフが作業を担い、若者感覚に合った発信を模索する。
12区の共産新人、堀譲候補(64)の陣営は、ツイッター派。現在のフォロワー(読者)は50人ほどで「もっと多くの若者に生の“声”を見てほしい」と投稿を重ねる。
選挙戦に慣れたベテラン陣営も、ネット活用に乗り出した。
11区の民主前職、松本剛明候補(55)は、休眠状態だったフェイスブックを再開。秘書らが演説場所の予定や、個人演説会での訴えを日に数回、写真や動画を交えて紹介する。12区の無所属前職、山口壮候補(60)は、公式ホームページをスマートフォン対応に仕様変更したばかり。動画などを積極的に配信、陣営は「丁寧に政策を伝えるには有効」と意気込む。
ただ、課題も浮かび上がる。フェイスブックを活用する12区の無所属新人、戸井田真太郎候補(36)の陣営は「同世代への発信力には期待できる。ただ、年配向けの活用法が課題」。公示直前に落下傘で立候補が決まった12区の維新新人、村上賀厚候補(55)の陣営はフェイスブックを駆使しつつ、「スタッフは県外出身者がほとんど。投稿が選挙区の有権者に響いているのか…」と悩む。
複数の陣営関係者からは「運動のどこまでを発信するべきか」など、ネットの初運用に戸惑う声が漏れる。「フェイスブックで(賛同を意味する)『いいね!』の数に一喜一憂している場合ではない」と冷めた見方も。早くからネットを活用してきたある地方議員は「現実の政治活動と同じ。普段から地道に取り組んでいないと、いざという時に役に立たない」と指摘する。