14日に投開票される衆院選。大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設が続く淡路島では、エネルギー政策の行方に関心が高まっている。全国の電力会社で太陽光発電の買い取り手続き中断の動きが広がっており、島内でも新たなメガソーラー建設に影響が出始めている。エネルギーの自給自足を目指す「あわじ環境未来島構想」の足踏みにつながりかねず、関係者は論戦を注視する。(切貫滋巨)
同構想は2050年度に自給率100%を目標に掲げ、本年度末にはメガソーラーと風力発電で20%前後に達する見込み。特に、豊富な日照時間に恵まれていることから、昨年からはメガソーラーの開所が相次ぐ。今月1日には淡路市内で関西最大規模の出力30メガワットのメガソーラーが稼働を始めた。
そんな中、四国電力などは今年9月末にメガソーラー事業者などとの契約手続きの中断を発表。淡路島南部(南あわじ市全域と洲本市の大部分、淡路市の一部)が四国電力の送電系統エリアであることから、関西電力も該当地域での買い取り契約ができるかどうかの回答を保留している。
さらに関電は今月5日、送電網の容量が上限に近づきつつあるとして、島北部(淡路市の大部分)でも、新たな申し込みについては契約できない可能性があると発表した。
いずれも既に稼働中のメガソーラーや契約済みの設備、10キロワット未満の家庭用などについては影響はないという。だがこのまま回答保留が続き、送電網の増強がなければ、近い将来、島内での新たなメガソーラー建設は困難になる。
全国的にも2012年に始まった固定価格買い取り制度は抜本的な見直しを余儀なくされる。そうなれば、再生可能エネルギーを地域活性化の柱と位置付ける多くの地域では計画の見直しにもつながりかねない。
今年、メガソーラーの稼働を始めた島内の業者は「(業者の参入を抑制するため)買い取り価格を抑え込み過ぎると、太陽光発電の盛り上がりに水を差すことになる。蓄電池を活用するなど、うまく産業として育ててほしい」と注文をつける。
構想を進める淡路県民局の担当者は「島内ではメガソーラーの適地は少なくなっている」としたうえで、「今後、自給率向上に向け太陽光発電以外も必要。国にもほかの自然エネルギーに誘導するような施策を期待したい」としている。