20年ぶりにリーダーが交代する兵庫県知事選(7月1日告示、同18日投開票)は、県政史上初の自民分裂選挙になる可能性が高い。自民と維新が推薦を決めた前大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)と、自民から推薦を得られなかった前副知事の金沢和夫氏(64)がしのぎを削る展開が予想される。元県議の金田峰生氏(55)=共産推薦=と元加西市長の中川暢三氏(65)も立候補を表明しており、激戦を支える議員や首長、支援団体のトップらに現状認識や勝敗を分けるポイントなどを聞いた。
■市民と野党の共闘目指す
-代表幹事を務める政治団体は長年、知事選に候補者を擁立し、今回は元県議の金田峰生氏(55)を支援する。
「2009年以降の知事選で候補者を立ててきた。会には37の団体や政党では共産党も入っている。憲法通りの立憲主義の県政を目指して活動している」
-過去3回は井戸敏三知事(75)に敗れた。
「井戸知事は行財政改革の名の下に、医療や福祉、教育の予算を削ってきた。県民の暮らしや命に重点を置き、地場産業を育てる政治をすべく、戦ってきた」
-井戸知事が退任する今回も候補を立てる理由は。
「自民と維新の推薦を受ける斎藤元彦さん(43)は行革をもっと徹底すると言った。あとはふんわり『前に進めます』しか言わず、何がしたいのか。前副知事の金沢和夫さん(64)は、後援会組織が井戸知事のとほぼ同じで、やりたい政治も一緒なんだろうなと。どっちが勝っても県政が悪くなると危惧した」
-なぜ金田氏か。
「候補者を考えていた最中、(旧民主系の議員らが)泉房穂明石市長に立候補を要請すると聞いた。市長としての姿勢や実績などから、共闘する候補者として検討対象になると思ったが、出ないとなった。それで、県議や知事選挑戦の経験もある金田さんに白羽の矢が立った。政策通で選挙も手慣れており、市民と野党の共闘に取り組める人だ」
-自民分裂をどう見る。
「菅政権になって自公に対する批判が強まった。各地の国政選挙で連敗が続き、従来型の方法で井戸さんから引き継ごうとした金沢さんでは『維新に勝てない』と国会議員が言いだした。結果的に(斎藤さんを)維新と両方が推薦するという訳の分からない状況だ」(聞き手・初鹿野俊、撮影・小林良多)
【いしかわ・やすひろ】政治団体「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」に6人いる代表幹事の1人で、金田峰生氏の選挙本部長。2009年の知事選から候補者擁立に携わる。神戸女学院大文学部教授(経済学)。64歳。