暗がりの中で、小さな手が青白く浮かび上がる。「えー! まだ残ってるわあ」「もう一回洗わんと」。手洗い場へと急ぐ子どもたちの楽しげな声が響く。2月下旬、神戸市須磨区の児童館であった、同市保健所の手洗い講習の一コマだ。
その仕組みはこう。汚れに見立てた特殊な液体を手に塗り、水洗いをした後、専用のライトをかざすと、洗い残しが光るという。
市では、新型インフルエンザが流行した2009年以降、手洗いチェックのキットを導入。保健師が学校園や児童館、高齢者施設などで、感染症の予防策として正しい洗い方を指導する。
昨年こそ「3密」を考慮し、講習は例年より少なかったというが、市保健所予防衛生課の担当者は「手洗いは感染対策の基本。キットのおかげで手洗いの効果を視覚化でき、指導しやすくなった」と手応えを口にする。(辰巳直之)
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兵庫県内で新型コロナ感染者が初めて確認されてから、3月1日で1年を迎える。日常に浸透した「新しい生活様式」の現場にレンズを向けた。
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