病気を予防する食事や知識に関する連載「医師おすすめ! お手軽健康レシピ」。脂質異常症をテーマとする4回シリーズの第3回は、「ツナみそおにぎり」、「こぶえだおにぎり」、「ねばねばサラダ」の3品のレシピを取り上げます。脂質異常症に関係する中性脂肪についても、医師の藤岡由夫・神戸学院大教授に解説してもらいます。(記事・井川朋宏、写真・中西幸大)
<おにぎり2品>
■ツナみそおにぎり
〈材料(2人分)〉
ご飯150グラム(茶わんに軽く1杯)
オイル漬けツナ缶35グラム(1/2個)
赤みそ、砂糖、酒各3グラム
大葉1枚
ショウガ1/3片
いりごま適量
〈つくりかた〉
1.赤みそ、砂糖、酒を混ぜ、みそだれをつくる。
2.大葉とショウガを粗めのみじん切りにする。
3.片手鍋(フライパン)に、ツナ、ショウガ、みそだれを入れ、ツナ缶のオイルを生かして水分がなくなるまでよく炒め合わせる。
4.ボウルにご飯を入れ、炒めたツナ、大葉、いりごまを加え、切るように混ぜる。
5.ラップで包み、好みの形に二つ握る。
【ポイント】ツナやサバといった魚の油には、エイコサペンタエン酸(EPA)などが豊富に含まれており、動脈硬化の予防につながる。
■こぶえだおにぎり
〈材料(2人分)〉
ご飯150グラム(茶わんに軽く1杯)
塩昆布5グラム
冷凍枝豆30粒
〈つくりかた〉
1.冷凍枝豆を流水で解凍し、さやから枝豆を取り出す。
2.ボウルにご飯を入れ、枝豆と塩昆布を加えてよく混ぜる。
3.ラップに包んで好みの形に二つ握る。
【ポイント】大豆が「畑の肉」と呼ばれるように、枝豆や納豆はタンパク質を多く含む。家で残りがちな材料を生かして簡単につくれる。
■ねばねばサラダ
〈材料(2人分)〉
納豆1パック
山芋50グラム
オクラ4本
たくあん2枚(20グラム)
塩適量
刻みのり適量
〈つくりかた〉
1.まな板に載せたオクラに塩を振り、両手で上下に転がす。全体に塩をこすりつけて表面の産毛を取り除き、5ミリ幅の輪切りにする。
2.オクラを耐熱容器に入れてラップをかぶせ、電子レンジ(500ワット)で1分10秒加熱し、冷ます。
3.たくあんと山芋を小さめのさいの目に切る。
4.オクラ、たくあん、山芋と、パックから取り出した納豆を器に盛る。
5.納豆のたれを全体にかけ、刻みのりを散らす。
【ポイント】ねばねばした食材の納豆、山芋、オクラはいずれも食物繊維が豊富だ。ほどよい塩加減で、サクサクとした食感も楽しめる。
■食事量減らし中性脂肪値改善を 藤岡由夫・神戸学院大教授
脂質異常症の診断基準の一つである中性脂肪は、グリセリンに脂肪酸が結合した脂質の一つです。大部分は、グリセリンに脂肪酸が三つつながっており、「トリグリセリド」とも言います。食べたり、体内で糖質からつくられたりして、主にエネルギー源として利用されます。
例えばご飯を食べると、体内ででんぷんが分解され、ブドウ糖となって代謝される以外は、中性脂肪へと変わります。この中性脂肪などを含んで、血液に溶け込むようになった油の粒子「リポタンパク」が、全身の臓器や筋肉に脂肪を運び回り、その脂肪はエネルギーになります。
このリポタンパクが血中にたくさん残った状態になると、中性脂肪の数値が高くなります。その原因の多くは、カロリーと糖質の取り過ぎです。基本、食べ過ぎたり、酒を飲み過ぎたりしている人で、糖尿病や肥満、メタボリック症候群である場合に高くなります。
中性脂肪の数値を下げる治療は単純です。果物やお菓子を含めた食べ物の量や、酒量などを減らしましょう。一般には油よりも糖質を減らす方が、数値は下がりやすくなります。糖質制限をするとやせるのも、体全体の脂肪が減るからです。ただ、制限しすぎるのも良くないので、食事のバランスには注意が必要です。
また、血液の流れが良くなれば、中性脂肪が分解されやすくなります。糖尿病やメタボリック症候群を薬などで改善するほか、運動をするのも良いでしょう。
◇協力 神戸学院大学栄養学部管理栄養士=中川輪央さん、山口さや香さん▽同学部生=松井優佳さん、谷川友花さん