総合 総合 sougou

  • 印刷
訪問看護師の藤田愛さん。「医療崩壊や病床逼迫は人ごとじゃない」と警鐘を鳴らす=神戸市中央区(撮影・長嶺麻子)
拡大
訪問看護師の藤田愛さん。「医療崩壊や病床逼迫は人ごとじゃない」と警鐘を鳴らす=神戸市中央区(撮影・長嶺麻子)

 新型コロナウイルスの「第4波」で入院できない感染者が急増している神戸市では、約10カ所の訪問看護ステーションが医療ケアを必要とする患者を巡回している。症状が悪化し動けなくなった高齢夫婦、電話が通じず駆け付けた時は既に亡くなっていた人…。過酷な実態を目の当たりにしてきた北須磨訪問看護・リハビリセンター(同市須磨区)所長の藤田愛さんは「入院できない一人一人が苦しんでいる。感染していない市民も、そんな状況と隣り合わせにいる」と訴える。

 神戸市ではこれまでに入院調整中の患者5人が亡くなった。患者のうち入院できた人の割合を示す「入院率」は18日時点で15%まで下がり、自宅療養者は176人、入院調整中は1361人に上る。

 同市では保健所の業務逼迫(ひっぱく)を受け、2月に自宅待機中の患者への訪問看護が始まった。当初から携わる藤田さんは市内全域で1日4~12人を担当し、約150件の訪問に当たってきた。

 当初はまだ感染者が少なく、おむつの交換など在宅介護が必要な人の生活支援が中心だったが、4月に入ると感染者が急増し、自宅待機中に病状が悪化する患者が続出。主治医に相談した上で酸素やステロイド投与などの医療ケアも施すようになった。

 患者宅までは車で移動し、玄関に入ってから感染予防のヘアキャップやガウンを着ける。患者は感染を近所に知られたくないからだ。使用済みの防護服はその家で廃棄してもらう。感染防止のため、滞在は15~30分程度が目安だが、超過してしまうことも多い。

 共に感染した高齢夫婦のケースでは、妻の血中酸素濃度が80%台半ばまで低下し、電話で連絡を取っていた保健師から「様子を見てほしい」と依頼があった。

 玄関で声を掛けても応答がなく室内に入ると、夫が床に横たわっていた。症状が悪化して3日前から動けず、トイレも行けていなかった。そばに座り込んだ妻は意識がもうろうとし、状況を電話で保健師に説明できていなかった。

 救えなかった命もある。息苦しさで話せないほど重症化していた30代男性は、家族が救急車を呼んでも受け入れ先がない状況だった。母親から「病院の隅でいいから入院させて」と懇願され、藤田さんは区の保健センターに「命が危ない」と報告。空き病床が見つかり搬送されたが後日、入院先で亡くなったと聞いた。保健師からの電話に出なくなった患者を藤田さんが訪ねると、既に亡くなっていたこともあった。

 「病状が悪化しても入院先が見つからず、救急車が引き揚げていく悪夢のような状況が起きている。私たちが訪問しただけで泣きだす人もいる」と藤田さん。「病院の医療に比べるとずっと劣るが、手遅れになる前に在宅医療の手が入れば、回復できる人も多い。何もしないよりずっといい。一人でも多くの命を救うことができれば」と話す。

 神戸市では4月下旬から、市立の3病院や市医師会の医療機関なども往診や電話診療に取り組んでいる。(長谷部崇)

神戸
総合の最新
もっと見る
 

天気(8月4日)

  • 34℃
  • 27℃
  • 20%

  • 35℃
  • 24℃
  • 20%

  • 36℃
  • 26℃
  • 20%

  • 36℃
  • 25℃
  • 20%

お知らせ