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高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチン接種=神戸市兵庫区
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高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチン接種=神戸市兵庫区
神戸大大学院の古和久朋教授=神戸市須磨区
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神戸大大学院の古和久朋教授=神戸市須磨区

 新型コロナウイルスのワクチン接種は「本人の同意」が必要だが、認知症患者への対応がクローズアップされている。国は「本人の意向を丁寧にくみ取って」と求めるが、重度になれば意思決定が難しくなるため、家族の同意を「本人同意」とみなす高齢者施設もある。認知症に詳しい医師は「認知症の人の意思決定は、がんの治療や胃ろうをするかどうかでも問われる重要な問題」と指摘する。(中島摩子)

 判断力や記憶力などが低下し、日常生活に支障が出る認知症。2025年には全国で約700万人に上り、高齢者の約5人に1人と予想されている。さらに外出自粛などを伴うコロナ禍が、症状の悪化につながるという指摘も出ている。

 その中で、新型コロナのワクチン接種は、本人が予防効果と副反応のリスクを理解し、同意した場合に実施するのが基本だ。

 厚生労働省は4月下旬、「認知症など意思確認が難しい場合」の対応について都道府県などに通知。「家族やかかりつけ医、施設の従事者などの協力を得て、本人の意向を丁寧にくみ取って」と求めた。

 厚労省予防接種室の担当者は「言葉だけでなく、しぐさやまばたきなど、コミュニケーションの手段はある」とし、「尊厳にも関わることなので、明確に拒否されたら、接種はしない」と説明する。

     ◇

 一方、毎年の季節性インフルエンザの予防接種では、本人の意思決定が困難な場合、家族の同意で実施することも少なくないという。今回の通知には「インフルエンザ等の定期接種と同様に」とも記述されており、国は実際の対応には幅を持たせている格好だ。

 「濃厚接触以外の介護なんてなく、早く接種を進めたい。本人同意を厳密にと言われると進まない」とは、播磨地域の高齢者施設長。阪神地域の高齢者施設長も「今まで通り家族同意で行う」と話す。

 家族も悩む。「お風呂が嫌、医者に行かないなど、認知症ゆえに『拒否』が強くなる時期もある。しぐさで100%分かるとは言えず、本人同意は簡単ではない」と話すのは、若年性認知症の妻(77)と認知症の母(99)と暮らす兵庫県加古川市の男性(76)だ。

 代表を長く務めた「加古川認知症の人と家族、サポーターの会(加古川元気会)」では、「本人を1人の人間として尊重する」と、本人が得意な料理や農作業などを活動に取り入れてきた。気持ちに寄り添いたい一方、コロナ禍では「マスクをしてくれない」など家族の悩みも目立った。

 男性は妻と母にはワクチン接種を受けてほしいが、「注射は嫌だと強く言われたら、困ってしまう」とも。副反応も気になる。最終的に4人の子どもとも相談し、接種することにしたという。

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 「認知症は、何もできなくなる病気ではない。まずは本人に何度か話をし、判断を待ってみて」と話すのは、神戸大医学部付属病院の専門外来「メモリークリニック」を担当する古和久朋教授(50)。国も2018年に「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」を策定し、「本人が自ら意思決定できるよう支援する」としている。

 ただ「意思決定を他人に伝えたり、結論を出したりするのが難しくなれば、本人の価値観、生き方を分かっている人が慎重に判断してほしい」と古和教授。ワクチン接種については「公共のものに協力的とか、過去に予防接種でひどい目に遭ったとか、判断の根拠になる情報を集め、『本人ならこうするだろう』と考えて」とアドバイスする。

 症状が進めば、胃ろうや手術など、命に直結する判断も必要になる。古和教授は「意思疎通ができる日頃から、本人と家族らが価値観の共有に努めておくことが大事」と話す。

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