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 神戸新聞社は、兵庫県内にある12の母子生活支援施設を対象に、書面によるアンケートを実施した。ドメスティックバイオレンス(DV)被害者の保護にとどまらず、育児支援や子どもの不登校対応など、幅広い役割が求められている実態が浮き彫りになった。調査結果を2回に分けて報告する。(小尾絵生)

 施設は、原則18歳未満の子がいる母子が利用できる。1月末時点で、県内12施設に191世帯、計501人が生活している。

 アンケートで入所理由を尋ねると、「夫などによるDV」が119件と最多で6割を占める。次いで「経済的な困窮」が22件。そのほか「住む場所が定まらない」、「子の養育が困難」などがあった。

 利用世帯の母親のうち、28人が知的または精神障害により障害者手帳を持っていた。発達障害などの疑いを含めると計60人となり、全利用世帯の3割を占める。子育てに困難のある母親にとって、職員のサポートを受けながら生活力を身に付ける場となっている。

 子どもは、小学1~3年生の層が最も多く、73人。0歳から小3までが200人おり、小4から高校生は111人と、比較的低年齢の子どもが多い。

 「子どもへの対応で困っていることがある」と答えたのは12施設中11施設。そのうち10施設が、不登校や登校しぶりを例に挙げた。ほかに暴力や暴言、発達障害への対応、家庭内の不和などがあった。

 「DV被害者のほか、どんな境遇にある母子の受け入れが可能か」との問いに対し、生活や住居、経済力が不安定な母子を挙げる施設が多かった。ほかに、母に障害や病気がある▽母が外国籍で日本語が分からない▽虐待を受けた子と母の関係性を再構築する場としての利用-などがあり、利用の背景が多様化している様子がうかがえた。

 また若年や経済的な問題などを抱え、出産前から支援が必要とされる「特定妊婦」について、受け入れの必要性を指摘する声も複数あった。現在の制度では、ほかに子のいない妊婦は“母子”とは認められず、一時保護などによる短期の受け入れしかできない。

 ある施設は「現制度下では、妊娠期から適切な支援ができない。単身妊婦の受け入れが早期実現できるよう願う」と記述していた。

【母子生活支援施設】戦前に創設された当初は「母子寮」と呼ばれ、戦争で夫や父を失った母子を保護する役割を担った。1998年に改称。現在はドメスティックバイオレンスや虐待、障害などさまざまな課題を抱える母子を対象に、住居を提供し、職員の見守りの下、生活の立て直しを支援する。

<調査方法>2月4~22日に実施。兵庫県母子生活支援施設協議会員の5施設と、神戸市母子生活支援施設協議会員の7施設に、各協議会を通じてメールで調査用紙を配布。全施設から回答が得られた。

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