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ぽぽろんさんの投稿
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ぽぽろんさんの投稿
関西遺族会ネットワークのホームページ
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関西遺族会ネットワークのホームページ

 「私の父はコロナに感染して2週間でなくなりました」-。新型コロナウイルス感染拡大による3度目の緊急事態宣言が発令される中、神戸新聞と漫画家、細川貂々(てんてん)さん(兵庫県宝塚市)のコラボ企画「生きるのヘタ会?」に1通の投稿が届いた。文面からは死を受け止められない悔しさがにじむ。新型コロナによる兵庫県内の累計死者は1120人(25日時点)。看病やみとりができなかったり、人に言えずに孤立したり…。突然の別れに苦しむ遺族らへの支援が求められている。(中島摩子)

 死別の体験や気持ちを分かち合う「遺族会」の連絡組織「関西遺族会ネットワーク」(代表=黒川雅代子(かよこ)龍谷大短期大学部教授)は5月中旬、ホームページ(HP)に「コロナの影響で大切な人とお別れなさった方へ」というメッセージを掲載した。

 同ネットには兵庫県内の遺族会など40団体が登録。悲嘆のケアを学んだり、HPで各グループを紹介したりしている。

 黒川代表によると、新型コロナの遺族は「複合的な悲嘆」が考えられるという。災害などで家族が行方不明になり、喪失が不確実なままな「あいまいな喪失」や、死が話題になりにくい自死や流産などの「公認されない悲嘆」の苦しみが、当てはまる。満足に治療を受けられなかった怒りや、家庭内感染による罪悪感なども予想されるという。

 HPには、新型コロナの遺族ゆえに予想されることを記している。

 「発症からほとんど会うことができず、大切な人が亡くなったという現実を理解することが困難な場合がある」「看病やみとりができなかったことによる罪悪感が強く出る場合がある」

 死別後に起こりうる悲嘆反応についても説明。睡眠障害や呼吸困難、混乱や不安、自宅に引きこもったり、アルコールに依存したり-などの行動を挙げ、「正常な反応だが、個人差もある」とし、「できるだけ毎日、だれかとつながりましょう」「ありのままの感情を大切に」などの向き合い方も記している。

 黒川代表は「新型コロナに加え、それ以外の疾患でも看病やみとりがかなわず、つらい思いをしている遺族がたくさんいる。孤立している遺族にメッセージを伝えたい」と話す。

 HPではオンライン対応が可能な遺族会なども紹介している。

 同ネット(http://izoku-net.com/

■「コロナ禍の生きづらさ」に共感/失職や風評被害、投稿50件

 父を亡くした「ぽぽろんさん」からの声が届いたのは5月上旬のこと。「コロナ禍の生きづらさ」をテーマに読者から投稿を募っていた。

 ぽぽろんさんの投稿は、「まだ若い」という父親の容体が急変した様子がつづられ、「当たり前に会えてた人と会えなくなります」「全てを奪います」などと新型コロナの怖さを伝える。

 入院してから一度も会うことができず、「なにもしてあげられなかった」という後悔や、「どうして父は亡くなったの? それすらも分かりません」という苦しみも記されていた。

 投稿全文を神戸新聞の公式ツイッターで紹介すると、リツイート(転載)が相次いだ。

 「コロナ禍の生きづらさ」に関する投稿募集には、仕事を失った苦しみや風評被害のつらさなど50件を超える声が寄せられている。

    ◇

 漫画家細川貂々(てんてん)さん(宝塚市在住)とのコラボ企画「生きるのヘタ会? てんてん×神戸新聞」では、皆さんの生きづらさのエピソードを募っています。

 ニックネームと年代を添え、800字程度で投稿してください。宛先は〒650-8571(住所不要)神戸新聞社編集局報道部「生きヘタ?」係。ファクス(078・360・5501)、メール(ikiheta@kobe‐np.co.jp)のほか、電子版「神戸新聞NEXT」から直接投稿することもできます。

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