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長男・雅生さんの墓前で、最終号の「風通信」を手にする曽我部とし子さん=明石市内
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長男・雅生さんの墓前で、最終号の「風通信」を手にする曽我部とし子さん=明石市内
犯罪被害者や遺族の苦しみを伝え、支援を訴えてきた「風通信」
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犯罪被害者や遺族の苦しみを伝え、支援を訴えてきた「風通信」

 兵庫県明石市で1996年6月に起きた通り魔殺人事件から9日で丸25年となる。24歳だった息子を亡くした同市の曽我部とし子さん(75)が、犯罪被害者の遺族として心情を20年以上にわたり書きつづってきたミニコミ誌「風通信」の発行に幕を下ろすことを決めた。これまでの出会いを糧に、今後も被害者や遺族が抱える悩み、苦しみへの理解と支援は訴え続けるつもりだ。

 長男の雅生(まさお)さんは96年6月9日、JR明石駅南の路上で背後から包丁で刺された。逮捕された男は精神障害があり不起訴。息子の命だけでなく、裁判で真実を知る機会さえ奪われた。

 事件から3年後、「犯罪被害者遺族の胸の内を知ってほしい」との思いで風通信を創刊。事件を機に生じた家族間の溝、長男への尽きない愛情、やり場のない怒り…。長男の「生きた証しがほしい」と、法務省に加害者に関する情報提供を求め、断られた経緯を詳しく掲載したこともあった。

 ほかの被害者との対話や、自助グループの紹介を通じて、通信は新たなつながりも生んだ。2002年には、犯罪被害者と支援者でつくる「ひょうご被害者支援センター」が発足。県内市町で犯罪被害者支援条例が制定された。明石市でも昨年、同条例が改正され、心神喪失などを理由に加害者が刑事責任を問われない事件で遺族に特例給付金が支払われる道が開かれた。

 年1、2回のペースで、乱れた心を静めながらつづった時もあった通信誌。最終の24号で「残された気力、体力を人生楽しんで生きる」と終刊を報告した。ほっとすると同時に「これまで抑えていた怒りや悔しさがじわっと胸にこみ上げてきた」と、まだ語り足りない思いも感じた。

 今年も6月を迎えた。例年以上に気持ちがふさぎ込む。25年が経過しても「ただ過ぎただけ」。でも失った長男を通じた出会いが風通信につながった-。そう思えるようにはなった。

 大事件が起きるたびに繰り返される「悪者探し」に違和感を抱く。そんな社会の風潮に埋もれた「小さな声にこそ真実がある」との思いを講演などで伝えていく。(小西隆久)

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