初めて高座を見たとき、「これってほんまに落語?」と目を疑った。膝に着けた布の人形が話し、両膝の人形同士が激しくバトルを繰り広げる「パペット落語」。編み出したのは、兵庫県朝来市山東町出身の笑福亭鶴笑(かくしょう)さん(61)=大阪市=だ。コロナ禍でうんざりする日々が続く中、「あのばかばかしさなら、子どもの心にちょっと戻れるかな」と期待し、上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」(神戸市兵庫区)に来てもらい、手ほどきを受けた。(金井恒幸)
教えてもらったのは、代表作の「立体西遊記」。かつてテレビドラマで大人気だった「西遊記」がモチーフで、内容もパペットも鶴笑さんの自作。演者が素顔のまま「三蔵法師」となり、岩に閉じ込められていた孫悟空を助け、一緒にてんじくへの旅をする。その途中で妖怪と出会い、悟空が退治する-という冒険物。
まずはパペットに注目。悟空の服は黄色、妖怪は赤色や青色と華やかで、顔もかわいらしい。「カラフルで明るく、悪役も愛らしさを残す。わざとおおざっぱに作り、チープ感のある方が、親しみを持ってもらいやすい」。これまでに50作近くを手掛け、作品によってフェルトやサテン、毛布など素材を変えてきた。
鶴笑さんは、はかまの中の脚に人形を隠して高座に上がり、途中から登場させる。両膝に悟空と赤い妖怪の顔、膝の下にそれぞれの服を、ゴムバンドや面ファスナーで着けて準備開始。服には袖があり、そこを使って人形の手を表す。
「生きている、魂があると思ってもらうため、人形はいつも動いていないといけない」という指導に従いたいのだが、悟空の動きに気を取られると、妖怪が止まったままになる。一方で、夢中になったのは戦闘シーン。「負けないぞ」と叫びながら悟空になりきって妖怪に体当たりし、最後はキックで吹っ飛ばした。うーん、快感!。
あおむけになり、天井方向へ伸ばした脚に布をかぶせて青い妖怪を表現したり、妖怪に三蔵法師の自分がパンチを連打されたり。手ほどきを終えるころにはすっかりはしゃぎ、50歳すぎのおじさんが子どもに戻ってしまった。
鶴笑さんがパペット落語を考えたのは30年ほど前、大阪・心斎橋の劇場に出演していた時期。当時はダウンタウンなど若手の漫才ブームで、若い女子は落語には見向きもしない。悩んでいたころ、女子のかばんに人形が飾ってあるのを見て「人形に話をさせ、自分を消してみよう」とやってみたところ、これが受けた。
言葉が分からなくても楽しんでもらえるため、海外でも引っ張りだこになり、50カ国近くで公演した。最近は国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」に沿って森林保護を題材にするなど、時代を反映した作品を心がける。
学校公演に行くと、子どもに人形を作ってもらい、演じてもらうことが多い。すると、普段はほとんど話さない子でさえ、人形という“自分の分身”を使うと生き生きと語り出すのを何度も見た。
「子どもからお年寄り、そして国を超えて喜んでもらえる人形の力はすごい。人形は一生の連れ合い」と鶴笑さん。これからも子どもたち、そしてかつて子どもだった大人たちの目を輝かせてほしい。
【しょうふくてい・かくしょう】1960年朝来市山東町生まれ。八鹿高校卒。84年、故六代目笑福亭松鶴さんに入門。2012年から朝来市観光大使。著書に「世界は広くてせまくて、やっぱり広い」。公演情報は公式サイト「笑う門には福来る」で。
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