国が「7月末完了」を自治体に求めてきた65歳以上の高齢者の新型コロナウイルスワクチン接種について、兵庫県内の対象約157万人のうち、少なくとも約9万人の希望者が8月以降の接種になることが、県内各市町への取材で分かった。7月末時点の2回目接種率は15市町が90%台に達する一方、3市町が70%未満にとどまる見込み。(高田康夫、上杉順子)
26、27日に各市町へ取材したところ、7月末時点で2回目の接種が終わるとみられる人の割合は、90%台=15市町、80%台=15市町、70%台=8市町、70%未満=3市町。
41市町のうち、7月末で接種が「完了しない」と回答したのは尼崎市、洲本市、市川町だけ。「完了する」としたのは12市町、「ほぼ完了する」は26市町だった。ただ「完了」の定義は市町で異なり、「希望者全員の接種」のほか、「80%の人が接種できる予約枠が完了の基準」「希望者の1回目接種完了」などがあり、一般的な意味での“完了”とは違う。
一方、姫路市では8月以降に接種する人は約2万8千人。神戸市でも予約を前倒ししていなかった高齢者がワクチン供給不足から予約を取り消され、再予約した人は約2万人おり、2回目接種は8月になるという。
ほかの市町でも、前倒しを「希望しない」とした高齢者などが8月以降にずれ込んでおり、予約時の混乱と国による接種ペースの加速に振り回され、ついて行けなかった高齢者が多いことがうかがえる。各市町が算出した8月以降の接種人数を合計すると約9万人になるが、個別接種の予約状況を把握していない市町も多い。8月以降に接種する高齢者が「いない」としたのは、福崎町と佐用町だけだった。ある市の担当者からは「国が『完了』と言うことで、締め切られたと感じる高齢者が出てしまう」と心配する声も上がる。
接種を申し込んでいない高齢者に対しては、すでに8市町が個別にはがきを送ったり、意向調査をしたりしている。4市も個別の案内や意思確認を考えるが、「あくまで個人の意思」などとして個別通知をしない市町もあり、対応が分かれている。いずれの市町でも、8月以降も高齢者の接種申し込みを受け付けている。
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