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江戸後期の伊万里焼「染付鮫海豚文大皿」=兵庫陶芸美術館蔵(赤木清士コレクション)
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江戸後期の伊万里焼「染付鮫海豚文大皿」=兵庫陶芸美術館蔵(赤木清士コレクション)

 神戸のコレクター、故・赤木清士さんが収集し、兵庫陶芸美術館(丹波篠山市)に寄贈された陶磁器コレクションのうち、伊万里焼の大皿「染付鮫海豚文大皿(そめつけさめいるかもんおおざら)」が、世界的に名高い浮世絵師・葛飾北斎の「北斎漫画」から図柄を引用していることが分かった。神戸新聞社の独自調査で判明した。

 この大皿は直径34・2センチ、高さ5・3センチ。19世紀初頭~中頃に肥前・有田で焼かれた磁器で、白地に青一色で、海で泳ぐ2匹の生き物を描いている。寄贈を受けた同館は、モチーフをサメとイルカと判断して作品名とし、コレクション目録に掲載した。

 神戸新聞社が絵柄を調べたところ、「北斎漫画」全15編のうち、2編にワニザメやクジラ、アナゴなど、海生生物を見開きで描いたページにそっくり同じ図があった。図にはそれぞれ「ふか」「さかまた」の文字が添えられている。「ふか」はサメ、「さかまた」はシャチの異名で、伊万里焼の職人が「北斎漫画」を手本に絵付けを施したと推測される。

 伊万里焼に詳しい佐賀県立九州陶磁文化館の藤原友子学芸員は「コイやアユは好んで描かれたが、サメやシャチが題材になるのは珍しい。『北斎漫画』を直接素材にした伊万里焼もあまり聞いたことがない」とする。一方、「江戸絵皿絵解き事典」(講談社)などの著書があるコレクター河村通夫さんによると、「北斎漫画」を手本にした伊万里焼の絵皿2点が自身の収集品にあるという。

 「北斎漫画」は、人物や動植物、風景など4千以上もの多彩な図柄を収録した絵手本集で、1814(文化11)年に初編を刊行。北斎没後の78(明治11)年までに15編が発行され、近代フランスの画家マネやドガらに影響を与えた。ガラス工芸家ガレも「北斎漫画」の絵柄を作品に転用したことが知られている。

 今回の大皿は、その特徴などから文政年間(1818~30年)ごろに焼かれた可能性が高いというが、「北斎漫画」2編の刊行は1815年。大皿の制作もそれ以降であることが確実になった。兵庫陶芸美術館の村上ふみ学芸員によると、題材がイルカでないと判明したのに合わせ、大皿の名称を染付鮫鯱文大皿(そめつけさめしゃちもんおおざら)へ変更したという。

 大皿は同館で8月29日まで開催中の特別展「古伊万里に魅せられて」(神戸新聞社など主催)に出品されている。(堀井正純)

【浮世絵を専門に扱う太田記念美術館(東京都)の日野原健司主席学芸員の話】

 「北斎漫画」を職人が手本として利用したことが分かる具体的な作例として興味深い。まだ研究があまりされていないが、これに類する磁器をたくさん調べれば、浮世絵を種本にしたものが他にも発見できるかもしれない。

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