総合 総合 sougou

  • 印刷
建設アスベスト大阪訴訟で共同代表を務めた山本百合子さん=尼崎市内
拡大
建設アスベスト大阪訴訟で共同代表を務めた山本百合子さん=尼崎市内
アスベスト被害で肺がんにかかり、闘病2年で亡くなった夫の晃三さん
拡大
アスベスト被害で肺がんにかかり、闘病2年で亡くなった夫の晃三さん

 建設現場でのアスベスト(石綿)被害を巡る「建設アスベスト訴訟」で、5月に最高裁が国の賠償責任を認め、訴訟をしていない被害者も多く救済される見込みとなった。全国で喜びの声が上がる中、「悔しい」と涙を飲んだ兵庫県内の遺族がいる。大阪訴訟の原告団で共同代表を担った兵庫県尼崎市の山本百合子さん(72)。屋外工だった夫晃三さん(2012年に67歳で死去)が被害にあったが、最高裁判決では屋外工のみ補償の対象外とされたからだ。今の思いを聞いた。(小谷千穂)

 「ワシから仕事とったら何も残らん」が、職人かたぎな主人の口癖でした。それが結局、現実になってしまって…。肺がんの告知からたった2年。仕事によって命を奪われました。

 板金会社で修業し、20歳から「一人親方」で建築板金の仕事を始めました。屋根の工事やダクトの取り付けなど、何でも請けました。4人の娘たちと遊ぶ約束を放り出してしまうほど、仕事が好きな人でした。

 たまたま健康診断で当たった先生がアスベストの仕事をしている人で、レントゲンの白いもやを見て、すぐに判断してくれました。詳しくない先生が見たら「肺がんやね」で終わっていたかも。広く給付金がもらえるようになったから、心当たりのある人は調べてもらってほしいです。

 裁判は主人の強い意志でした。体が弱っていく中で「ワシも裁判する」って。私は「裁判どころじゃない」と止めたのですが、聞きませんでした。現場の仕事が好きやからこそ、他の人には同じ目に遭ってほしくなかったんです。

 提訴から1年後、主人は亡くなりました。弁護士から裁判を引き継ぐか聞かれたんですが、ショックで法廷に行けなかった。でも、娘たちから「このままやったら悔しすぎる」と言われて少しずつ頑張りました。

 屋内でのダクト工事に関しては、大阪高裁で国の責任が確定しました。この時、屋根など外の作業も、建材メーカーの責任が認められていたんですよ。でも最高裁ではダメでした。

 判決文には「建築材の切断作業は限られた時間」「風で自然に換気される」とされていました。夫は1日に何件もこなし、帰ってくると、いつも鼻回りに白い粉がいっぱい付いていた。解体工はよくて、屋外工が駄目な理由は何でしょう。

 判決の次の日、菅首相は官邸に集まった私たち原告一人ひとりの顔を見ながら謝罪文を読んでいました。目をそらしたらあかん、目で訴えな、という気持ちで首相の顔を見つめていました。

 私の裁判は終わりました。大阪訴訟第2陣にも屋外工はいます。その方々を含めて被害者全員が救済されるように、後方支援をしながら最後まで見届けたいです。解体作業では、場合によっては今後も危険が及びます。どうかこれ以上被害が出ませんように。

     ◆

 厚労省は、給付金の支給対象者はこれから発症する人も含めて30年間で約3万1千人と推計する。石綿被害相談窓口TEL0570・006031(平日午前8時半~午後5時15分)

総合の最新
もっと見る
 

天気(6月28日)

  • 30℃
  • 25℃
  • 10%

  • 37℃
  • 24℃
  • 10%

  • 33℃
  • 25℃
  • 10%

  • 35℃
  • 25℃
  • 10%

お知らせ