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切浜海水浴場近くの岩場でサザエやアワビを採取した女性(右)を聴取する海上保安官ら=豊岡市竹野町切浜(画像の一部を加工しています)
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切浜海水浴場近くの岩場でサザエやアワビを採取した女性(右)を聴取する海上保安官ら=豊岡市竹野町切浜(画像の一部を加工しています)
摘発した女性から押収したサザエとアワビ=豊岡市竹野町切浜(香住海上保安署提供)
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摘発した女性から押収したサザエとアワビ=豊岡市竹野町切浜(香住海上保安署提供)

 兵庫県北部の沿岸で今夏、サザエやアワビの密漁が多発している。地元の漁協が知事から免許を受けて共同漁業権を設定しており、漁業者以外が採取すると漁業法違反(漁業権侵害)となる。しかし京阪神などからの海水浴客を中心に「レジャー感覚」で密漁に手を染めるケースが後を絶たず、今年はすでに16人を摘発。密漁現場の実態を調べるため、海上保安官に密着した。(金海隆至)

 8月上旬、日曜の午後。豊岡市の切浜(きりはま)海水浴場に近い岩場で、ウエットスーツの女性が素潜りを繰り返した後、浜辺に上がってきた。崖の上の県道から双眼鏡で動きを探っていた海上保安官が「網袋を持っている。何か取っています」と声を上げた。

 それを合図に、私服姿の保安官5人が一斉に約200メートル離れた海水浴場へ向かった。視線は、ビーチパラソルの下で一息つく女性を捉えて離さない。

 近づいて確認すると、網袋にはサザエ44個(約3・8キロ)とアワビ1個(約80グラム)。そばに金属製のへらのような漁具「アワビおこし」もある。装備や持ち物から密漁目的とみられた。

 「これは一体、どうしたんですか」と保安官が尋ねる。女性は、けげんな表情で「採取が禁止されているとは知らなかった。少し取るぐらい構わないのでは」と繰り返した。

 その日に実況見分を終え、翌日になり、香住海上保安署(香美町)で漁業法違反容疑で任意聴取が進むと、ようやく過ちの大きさに気がついたのか、反省の色を見せ始めたという。

 女性は大阪府東大阪市在住の40代。過去にも他県の沿岸でサザエを取り、漁師に注意されて海に返したことがあると供述。切浜にはこれまでにも何度か密漁目的で訪れ、「自宅に持ち帰って食べるつもりだった」と話したという。

 香住海上保安署が今年、漁業法違反(漁業権侵害)容疑で摘発した密漁者は、8月1日時点で16人。2017年以降、摘発は毎年夏場を中心に年間10~20人台に上る。海水浴客が、海水浴場の近くや集落から離れた岩場で、サザエやアワビなどを採取する例が大半。同署は「つい出来心というより、レジャー化している。『自然のものを取って何が悪いの?』という感覚が密漁に拍車をかけている」とお盆を前に警戒感を強めている。

 県北部沿岸のサザエやアワビは、地元漁協が、稚貝(種苗)を購入して放流している。20年度でアワビ約2万6千個、サザエ約4万4千個に及び、数年かけて計画的に採取できるよう資源量の安定に努めている。県但馬水産事務所は「漁業者が漁場として管理している実態が知られていない。乱獲を許すと資源が枯渇し、市場への供給も阻害される」と警鐘を鳴らす。

■組織的犯行も

 密漁は全国の沿岸部で多発しており、水産庁や兵庫県は対策を強化している。特にアワビとナマコは高値で取引されるため、組織的な密漁が横行。ナマコの密漁品の輸出は暴力団の資金源とも指摘される。

 昨年12月に施行された改正漁業法は、アワビとナマコを市民の採取を禁じる「特定水産動植物」に指定。採取や密輸に携わると、「懲役3年以下または罰金3千万円以下」とする罰則が新たに加えられた。サザエや伊勢エビなどの採取(漁業法違反〈漁業権侵害〉)についても、罰金が20万円以下から100万円以下に引き上げられている。

 兵庫県水産課によると、県内での密漁は、一般の人が潮干狩りや海水浴の延長で行うケースが大半。3~4月は主に瀬戸内海側のアサリ、7~8月は瀬戸内海、日本海側のサザエやアワビが狙われることが多い。近年では2015年に年間最多の66人(神戸海上保安部分除く)が摘発されている。

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