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 病床が足りず、兵庫県内で一時1500人を超える入院待機者が出た今春の「第4波」。その波を大きく上回る「第5波」が押し寄せている。関東での危機的状況が連日伝えられる中、兵庫では「災害状態」とされた4波ほどの悲鳴は聞こえてきておらず、重症病床使用率は4割弱(20日午前0時)にとどまっている。感染力が高いデルタ株が広がる中、病床は足りるのか。県内の医療関係者に聞いた。(霍見真一郎)

■2回接種率75%

 「病床運用が破綻していないのは、新規感染者の9割が軽症であるのが大きい」。県内最多の新規感染者が続いている神戸市で入院調整を指揮する山崎初美保健企画担当局長は、高齢者の多くがワクチン接種を終えている効果を強調する。

 第4波では、ワクチン接種が進んでおらず、新規感染者の約3割が60歳以上だった。陽性判明当初は軽症でも、重症化する高齢者は多く、入院期間が長期化する傾向もあった。

 だが、今月1日時点で65歳以上の県民の2回接種率は75%に。現在入院中の高齢者は未接種の人が大半で、年代別でみると、40代、50代が多いという。

 山崎局長によると、新規感染者が300人とすると、おおまかに、入院=30人▽宿泊療養=40人▽自宅療養=230人-といった状況という。「血中酸素濃度が93%以下は必ず入院できている」といい、80%以下でも入院できないことがあった第4波と比べ「状況はかなりましだ」と話す。

■デルタ株の猛威

 しかし、感染力の強いインド由来の変異株「デルタ株」の広がりで、感染拡大は第4波をはるかに上回る勢いだ。それに伴い、同市では、患者の聞き取り調査が追いつかなかったり、宿泊療養施設が満床状態になったりし始めている。

 検査の陽性率が上昇している病院もある。神戸市で発熱外来を開く民間病院の院長は「17、18日に18人ずつ検査したが、それぞれ14人と9人が陽性だった。これまでで最高の割合だが、症状は皆軽い」とする。

 同市のコロナ治療で「最後のとりで」となる市立医療センター中央市民病院では20日午前、46床中44床が埋まった。ほぼ満床だが、第4波で1日約20人いたこともある人工呼吸器をつけた患者は2人だけで、中等症患者が多い。

 ただ、「少しずつ重症度が上がっており、人工呼吸器手前の状況の人が増えている」と警戒を強める。医師の一人は「兵庫はまだ(病床が)回っている。だが、発症して重症化するのに1週間ほどかかることが多く、患者急増の本当の影響が出るのは来週ではないか」と話した。

 尼崎市保健所の職員も「親子4人家族の場合、以前なら親同士でうつす程度だったが、今は全員が感染するケースが多い」とし、「今の感染状況が長期間継続すれば、4波のような病床逼迫(ひっぱく)が起こりうる」と話した。

■宿泊療養の拡充を

 感染者の若年化で、重症者は減っているものの、かつてない感染急拡大に、現在の確保病床は十分なのだろうか。

 神戸大病院の宮良高維(みやらたかゆき)感染制御部長は「兵庫の重症病床使用率の最高値は今年5月の80%台というが、そのころ入院調整中の人は、全確保病床を上回る1500人以上いた。実際に使える病床は、公表値より少ない可能性がある」と指摘。「病床は看護師や医療資機材も必要で、すぐに増やせるものではない。さらに感染が広がる場合は、ホテルで酸素投与や診療ができる態勢を今以上に拡充することを考えてもいいのではないか」と話す。

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