太平洋戦争の終戦から76年となった15日、全国戦没者追悼式が東京・日本武道館であり、戦没した人たちの冥福を祈り、遺族らが花を手向けた。新型コロナウイルスの感染拡大で参列者を減らす中、兵庫県丹波市の柿原啓志さん(85)が全国の遺族を代表して追悼の辞を述べた。「戦争の意識が薄れゆく今日もなお、私たちは失った家族の面影を求めている」-。戦没者の記憶の継承と平和な世を願い、言葉を紡いだ。
柿原さんは、丹波市の養蚕農家の長男として生まれた。中国で戦病死した父輝治さん=当時(35)=は農業にいそしみ、冬になると杜氏として遠方の酒造場に働きに出た。幼かった柿原さんは近所のバス停で父の帰りを待ったのを覚えている。おもちゃの刀やかぶと、小太鼓などお土産をもらうのが楽しみだった。
父が軍に召集された時は8歳だった。「写真を見ても『これがおやじの顔か』って。目を閉じても姿が浮かばない」。交わした会話も、楽しかった思い出もない。お土産だけが父の記憶。1944年10月、中国・湖南省長沙市の病院で病死したことも知らず、葬儀ではしゃいだ。掲げられた木の板に父の名があったのは、後で分かった。
一家の大黒柱を失って家業を手伝うようになり、友達と比べて「何でわしだけ仕事せなあかんねん」と悔しかった。父のことを考え始めたのは、高校を卒業し、母の誘いで遺族会の活動を始めてから。「どんな人やったんやろ、お酒はよう飲んでたんかな」。父の知り合いに聞くようになった。
長い歳月が流れた。子や孫ができ、今なら思う。父が土産を買ってくれたのは「子どもが家におる。はよ帰りたいな、何か買って帰ってやろう」との思いだろう。同じように、戦地でも「早く家に帰りたかったやろうなぁ」と想像する。20年ほど前、父が亡くなった中国の現地で森や沼地を見た際は、「こんな大変なとこ、昼も夜も歩いたんや」と涙があふれた。
東京の戦没者追悼式で、兵庫の遺族が追悼の辞を述べるのは52年ぶり。兵庫県遺族会会長を務める柿原さんは「若い人に『遺族会』と言っても『何の遺族?』と聞かれる。意識が薄れている」と危機感を抱き、15日の式に臨んだ。柿原さんは約200人の参列者を前に語り掛けた。「犠牲になって亡くなられた人々は、今の日本に暮らす人々と同じように、ごく普通の生活を過ごしていた方たちであったことに、どうか気付いていただきたい」(小谷千穂、西井由比子)
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