「今日に明日をつなぐ人びとの営みが経済なのであり、その営みは、存在のもっと深い奥底で、いつまでも消えることのない価値高い息吹としてありつづける」(「共生の大地」)。1日、89歳で亡くなった経済評論家、内橋克人さんの60年に及ぶジャーナリスト活動の底流に流れていたのは、市井の人々への温かなまなざしだった。
12歳で神戸空襲に遭い、焼夷(しょうい)弾の下を逃げ惑った。1957年、神戸新聞で経済記者として歩みだした際は中小零細企業の取材に打ち込んだ。中内功氏(故人)が興したダイエーの草創期の熱気に触れたのもこのころだ。「神戸という地域と経済活動が重なる場の大切さ」を感じたという。
67年、フリーとして独立後、夕刊フジで連載した「匠(たくみ)の時代」は後に数多くの文庫所収となるほど生命力のある作品となった。利益追求とは別の次元で動く技術者の群像。「どのような技術開発も、人間と地域社会が主人公」という確信に裏付けられていた。その後、競争が全てという市場原理主義や規制緩和万能論を怒りともいえる厳しい態度で批判したのも、人間重視の揺るぎない思想があったからにほかならない。
「生きる、働く、暮らす」という営みにこだわった。巨大資本に翻弄(ほんろう)される自営業者、東京一極集中に追いやられる限界集落、農業自由化の波にもまれる農業者、震災復興に取り残される被災者…。「権力を背にした国家に代わって、もう一つの選択肢がある」として「共生経済」を提唱。環境負荷ゼロ、脱原発、エネルギー自給、地産地消の豊かな地平を丹念な取材で指し示した。
戦争の悲劇を伝えることにも熱心に取り組んだ。2013年、神戸空襲の犠牲者名を刻んだ慰霊碑が完成した際も「再び同じ犠牲者を出さないよう、いまを生きる者が心に刻む場所であるべき。集団的自衛権などが議論され、歴史の岐路に立っている」と憂いた。
今、感染症が現代社会の弱点を突いて拡大している。暮らしは脅かされ、生業は苦境に沈む。一方、動くべき政治は混迷の極みにある。時代を見据えた筆一本のジャーナリストに共生の思想を今こそ語ってほしかった。(加藤正文)
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