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快挙を成し遂げた数理科学研究会のメンバーと、顧問の宮寺良平教諭(手前中央)=神戸市須磨区横尾、啓明学院
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快挙を成し遂げた数理科学研究会のメンバーと、顧問の宮寺良平教諭(手前中央)=神戸市須磨区横尾、啓明学院
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 啓明学院(神戸市須磨区)の中高生と教員による数学の研究が、世界各国の学者らが集う国際学会の審査を通過し、4日、生徒らがオンラインで研究成果を発表した。発表者のほとんどが大学の教員というハイレベルな学会で、中高生の登壇は専門家も驚かせる快挙だ。どうやって実現したのか、生徒が所属する同学院の「数理科学研究会」を訪ねると、教師と生徒、学年などの枠を超え、それぞれがのびのびと意見を交わす自由な空気にあふれていた。(鈴木久仁子)

 「この式はどう?」

 「いやこっちの方がいいのと違うか?」

 難解な数式が書かれたホワイトボードを前に、侃々諤々(かんかんがくがく)。数理科学研究会で日常的に見られる光景だ。中3から高3までの6人が、放課後までの3時間半、学年を問わず熱心に議論を戦わせる。

 研究会の生みの親は、顧問で理学博士でもある宮寺良平教諭。「中高生には新しい発見をする高い能力がある」とかねてから信じていたといい、今春活動を始めた。

 単に数学の難問を解くのではなく、「自由に問題を変えてごらん」と問題から考えさせる点が、研究会の特徴だ。「既存の問題を解いても、新しい発見には結びつかない。目標はあくまでも世界の数学者と対抗することです」と宮寺教諭は語る。

 今回の論文では「チョコレートゲーム」を取り上げた。プレーヤーは、タテヨコいずれかの線に沿って一直線にチョコを割る。それを交互に繰り返し、最後に残る青いチョコを食べさせられた方が負け、というルールだ。

 数学の研究テーマである石取りゲームの一種で、数学的には既に必勝法が存在するという。そこで研究会は長方形の板チョコからいくつかのピースを減らし、必勝法の考察を始めた。

 コンピューターでデータを計算し、解決に結びつく特徴を探す。1ピースで見つからなければ、2ピース減らす。面白い結果が出ると、先生の専門知識とドッキングし、数学的証明に取り組む。「生徒の直感と私の技術の共同作業」と宮寺教諭。数週間かけて、チームは見事に必勝法を見つけ出したという。

 「データ計算をしていると、どんな数値がはじき出されるのだろうと、楽しみでどきどきした」。生徒たちは、笑顔で振り返る。発見に近づく道筋を見つけた中3の真部光さんは「その瞬間は先生に早く報告したくて、職員室に駆け込んだ」と目を輝かせた。

 啓明学院が発表する国際学会は「TJCDCG3 2020+1」の略称で呼ばれる。秋山仁教授(東京理科大学)や加藤直樹教授(兵庫県立大学社会情報科学部学部長)ら、組合せ数学の研究で世界的に知られる数学者が1997年に創設。年々参加者が増え、レベルの高い発表が多いことでも知られている。

 今回は3つのテーマで審査を通過した。関西学院大学の巳波弘佳副学長(工学部教授)は「大学教員や大学院博士課程レベルの学会で、中高生が発表できる内容があるのは極めてまれ」と高く評価する。学会は3日から5日までの予定で、真部さんらは4日、世界の学者に向け、自分たちの研究成果を英語で発表した。

 「中高生は大学生よりさらに、先入観にとらわれない自由な発想がある」という宮寺教諭だが、今回の成果には「驚いた」と脱帽する。「小中高と、教師から与えられた問題をただ解くだけの一方通行の教育では、本来の力を発揮できない。自由な発想力や発見する力などものすごい力があるのに、引き出せていない。もっともっとチャンスを増やしてやりたい」と話している。

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