総合 総合 sougou

  • 印刷
ヨルダンで子どもの心のケアを担う田中英三郎さん=神戸市中央区
拡大
ヨルダンで子どもの心のケアを担う田中英三郎さん=神戸市中央区

 「心の健康を置き去りにしたくない」。そんな思いを胸に、兵庫県小野市出身の精神科医田中英三郎さん(46)が9月中旬から、シリア難民を多く受け入れる中東ヨルダンで、国際協力機構(JICA)の専門家として子どもたちの心のケアを担う。26年前、阪神・淡路大震災の被災地に衝撃を受け、医師になる決意を固めた田中さん。新型コロナウイルス禍が難民への差別や暴力に追い打ちをかける地で、「わずかでも光を届けたい」と意気込む。(藤井伸哉)

 震災当時は大阪で医学部受験の浪人生活をしていた田中さん。出願に必要な書類を母校・小野高校で直接受け取る必要があり、震災発生2、3日後に神戸の被災地を通った。跡形もなく倒壊している住宅ばかりだった。

 「生き埋めになったり、亡くなったりした人がまだいるのではないか」。身近に感じたことがなかった死が、目の前にあった。父親が開業医で漠然と医師を目指していたが、「生きる、死ぬ、という究極の状況で、心から人を助けたいと感じた」と振り返る。

 愛媛大を卒業し、内科医として病院勤務も経験した田中さんは2004年、国境なき医師団のボランティアとして、多剤耐性結核予防のため、グルジア(現ジョージア)に赴任。心の診療が後回しになりがちな医療を目の当たりにし、大学時代から目指していた精神科医への思いは揺るぎないものになる。

 薬を処方して体調が回復しても、患者の浮かない表情が脳裏にあった。「心身の健康があってこその幸せ」と、全国で最も多くの子ども精神科患者が集まる病院で臨床経験を重ね、東京大や大阪大の大学院でも学んだ。

 JICAによると、シリア難民の子どもたちは、半数が悲惨な戦争体験のトラウマ(心的外傷)を抱えているという調査結果がある上に、いじめの対象にもなりやすい。難民に対する精神保健分野での本格的な現地派遣は、JICAで初という。

 田中さんは子どもたちの心の傷を癒やしながら、継続的なケアに向けて、現地の医療従事者に専門的な知識を伝授する。田中さんは「(心の傷は)過酷な体験だから仕方ないよね、で済ませたくない」と真剣なまなざしを見せた後、「子どもたちの笑顔に国境はありません」と表情を緩めた。

医療北播
総合の最新
もっと見る
 

天気(10月20日)

  • 19℃
  • ---℃
  • 20%

  • 16℃
  • ---℃
  • 60%

  • 19℃
  • ---℃
  • 10%

  • 19℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ