JR西日本が建て替え計画を進める新たな三ノ宮駅ビル(神戸市中央区)が、高さ約160メートルの高層ビルとなることが16日、関係者への取材で分かった。新ビル計画は新型コロナウイルス禍の影響で遅れが生じたが、費用を圧縮した上でコロナ前とほぼ同じ計画で進めるとみられる。開業は2025年の大阪・関西万博後になる見込み。動向が注目されていた「都心の一等地」の再整備計画がいよいよ動きだす。(三島大一郎)
同社は18年に発表した中期経営計画(5カ年)で同駅ビルの再開発について、大阪、広島両駅と並ぶ「三大プロジェクト」と位置付けた。商業施設やホテルなどが入る複合ビルを23年度以降に開業するとし、旧ビルの解体を進めた。
しかし、新型コロナの影響で鉄道事業が振るわず、同社の業績が急激に悪化。昨年10月末、長谷川一明社長は「業種、業態を含めてゼロから検証する」とし、新ビルの計画内容を見直す方針を明らかにした。
関係者によると、同社などはポストコロナ時代の需要を調査し、計画を再考。新ビル建設地で駅前活性化の機運を盛り上げようと、一部をイベント会場として暫定的に活用してきた。
三ノ宮駅直結の旧駅ビル「三宮ターミナルビル」は神戸ポートアイランド博覧会があった1981年に開業。地上11階、地下2階建てで、ホテルや商業施設「三宮OPA(オーパ)」、雑貨店、レストランなどが入っていた。
一方で老朽化が進み、耐震性能の不足も判明。JR西は17年3月、同ビルの閉鎖を発表した。
主要駅では京都駅が97年に、大阪駅が11年にリニューアル。三ノ宮駅ビルについても早期再整備を望む声が地元住民や経済界から上がっていた。
同駅周辺では4月に「神戸三宮阪急ビル」が開業。西日本最大級のバスターミナルを備える高層ツインタワーの建設や市役所2号館の建て替え計画も進む。新ビル計画の進展で、都心部のにぎわい再生に向けた動きの加速化が期待される。
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