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時給900円でアルバイトを雇っていた居酒屋の店頭。10月からの28円引き上げに、店主は「コロナで協力金をもらっているなかぎりぎりの状態だ」と話す=神戸市垂水区内
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時給900円でアルバイトを雇っていた居酒屋の店頭。10月からの28円引き上げに、店主は「コロナで協力金をもらっているなかぎりぎりの状態だ」と話す=神戸市垂水区内
最低賃金の引き上げをPRするポスター=神戸市中央区東川崎町1、兵庫労働局
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最低賃金の引き上げをPRするポスター=神戸市中央区東川崎町1、兵庫労働局

 パート・アルバイトを含むすべての労働者に適用される最低賃金が10月から引き上げられた。兵庫県は過去最大の28円引き上げられ、時給928円に。新型コロナウイルス禍で倒産や解雇、雇い止めが増えるなか、労働者側は「最低でも時給千円に」とさらなる引き上げを求める一方、緊急事態宣言の影響をもろに受ける飲食店は「すでにぎりぎりの状態なのに、人件費負担が重い」と悲鳴を上げる。(小谷千穂)

 最低賃金は都道府県ごとに異なり、改定後の全国平均は930円。東京都が最も高く1041円で、最も低いのは高知、沖縄県の820円。兵庫は2019年度に過去最大の28円増となり、20年度はコロナ禍から雇用を守るため1円増と事実上据え置き。本年度は19年度に並ぶ28円増となった。

 「バイトの給料を上げる分は、雇い主の給料を下げないと仕方ない」。神戸市垂水区で鮮魚の卸売業、居酒屋を営む男性(51)は肩を落とした。約5年前から時給900円で、居酒屋のアルバイトを雇ってきたが、10月から最低賃金を割り込んだ。

 コロナ禍で卸売りは激減。居酒屋では緊急事態宣言下で酒類を提供できず、午後8時閉店のため、事業全体の売り上げは約3割減という。最低賃金の引き上げは月2万円の負担増となり、「しんどいと思うところはあるが、決まり事やし仕方がない」と受け止める。

 最低賃金の増加は、コロナ禍の経営に直撃、雇用も不安定にしかねない。仮に10人がフルタイムで働く会社が28円引き上げれば、1カ月で約5万円の負担増。約400団体が加盟する兵庫県経営者協会の松岡直哉労働政策部長は「逆風のなか、自己ベスト以上を出せと言われている状態。企業が雇用を維持できず、職を失う人が出るのではないか」と危惧する。

 一方、非正規労働者はコロナ禍の影響で雇い止めや賃金切り下げに直面。労組「神戸ワーカーズユニオン」の木村文貴子書記長は「大人1人が生活できる水準として、最低でも時給千円は必要」と引き上げを求める。

 928円未満で働く人のなかには、食品スーパーや福祉関係、保育、運送・配送業など、社会的に不可欠な「エッセンシャルワーカー」も多かった。コロナで負担が増すケースも多く、木村書記長は「経営者は『コロナだから仕方がない』と言い訳してきたが、基準が上がれば逃げられない」とする。

 兵庫労働局によると、9月現在、928円未満で働く県内の労働者は約12万人。全労働者の16・9%と対象者の割合は過去最も多く、周知に課題が残る。今年1~5月に重点監督を実施したところ、307事業場のうち36件で最低賃金に満たない違反があった。

 同労働局賃金室の青柳利雄室長は「今回はさらに違反率が高くなるだろう。広報に力を入れつつ、中小企業の支援も進めたい」と話した。最低賃金を一定額以上引き上げた企業への助成金制度を設けている。同労働局賃金室TEL078・367・9154

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