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「Go To イート」の食事券と引換券。加古川市の主婦は食事券を1枚も使えていない=加古川市内
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「Go To イート」の食事券と引換券。加古川市の主婦は食事券を1枚も使えていない=加古川市内

 新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた飲食業界の支援策「Go To イート」のプレミアム付き食事券について、兵庫県内全域で1月から利用自粛の呼び掛けが続く。緊急事態宣言の解除後、政府は行動制限の緩和を掲げるが、前政権の目玉事業は長期間、事実上の停止に追い込まれたままだ。明確な見通しが示されない中、市民から不安と不満の声が上がっている。(斉藤正志)

 「これはどうなるの。わが家にとって1万円は大金だったんだけど…」。同県加古川市の主婦(62)は、500円券が25枚つづり(1万2500円分)の食事券を見せた。台所の引き出しを開け、目にするたびに、ため息をつくという。

 昨年10月、インターネットで申し込み、1冊を1万円で購入。利用期限は2020年10月29日~21年3月31日と記されていた。

 しかし、県内で感染が拡大したため、県は昨年12月中旬から神戸、姫路、三田市と阪神地域で、今年1月からは県内全域で利用自粛を呼び掛けた。事実上、テークアウト(持ち帰り)とデリバリー(配達)以外では使えない状況のまま、利用期限が過ぎた。

 昨年11月に届いたもう1冊の食事券の引換券は、同月30日からの販売が停止され、購入さえできずに手元に残ったままだ。

 主婦は購入した食事券を1枚も使っておらず、「このまま使えなくなるのではと不安になる」とこぼす。

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 全国では今年10月6日時点で、北海道や東京都、大阪府など、兵庫県を含む17都道府県が、同1日以降もテークアウトとデリバリー以外での利用自粛を呼び掛けている。一方で、茨城、岐阜、岡山県は同日から利用自粛要請を解除。愛知県も5日から解除し、食事券の発行を再開した。

 兵庫県によると、県内で予定していた食事券80万冊のうち販売済みは15万冊にとどまっている。県のコールセンターには「もう食事券を換金してほしい」との声も寄せられるが、購入後は換金できないという。

 担当者は「感染状況を見ながら販売再開について協議しているが、具体的にはまだ決まっていない」と話す。今後、再開が決まれば、販売済みの食事券も利用期限を延長する方針。

 農林水産省からは、十分な利用機会が得られるように、販売再開から3カ月間の利用期限延長を求められているが、一方で同省は事業期間を12月15日までとしている。このままでは利用できる期間が短くなる。

 農水省外食・食文化課Go To Eatキャンペーン準備室の担当者は「販売開始から利用期限まで3カ月は必要との考えに変わりはない」とするが、事業期間の延長はまだ決まっていないという。担当者は「消費者に不便をかけているのは心苦しいが、これから食事券が使えないということにならないよう検討していきたい」と話す。

【Go To イート】 新型コロナウイルス感染拡大で売り上げが落ちた飲食店や農業者らを支援する政府の需要喚起策。購入額以上の食事に使えるプレミアム付き食事券と、オンラインで予約した飲食へのポイント付与の2事業がある。2020年10月に始まったが、同11月下旬には感染拡大で政府が食事券の新規発行停止を求め、各地で利用自粛要請が相次いだ。

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