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ピアノを弾くことの喜びを語る舘野泉さん=大阪市内(撮影・長嶺麻子)
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ピアノを弾くことの喜びを語る舘野泉さん=大阪市内(撮影・長嶺麻子)

 脳出血で右半身不随となり、2年後に「左手のピアニスト」として復活した舘野泉さん(84)が、11月に神戸でコンサートを開く。不屈の精神でよみがえり、昨年に演奏生活60周年を迎え、左手だけによる演奏会は約千回を数える。みずみずしい音色を生み続ける原動力とは-。(小林伸哉)

 病に倒れる前も、再起を遂げた後も、人生観は変わらない。「『すごく好きだな』と感じたものを、いまだに磨き続けている」。それが音楽だ。「弾ける限り、いつまでも弾いていたい。取り組みたい曲がいっぱい」と力強い。

 東京芸術大を1960年に首席卒業後、64年からフィンランドと日本に拠点を置き、世界中で演奏する。2002年1月、コンサート中に脳出血で倒れた。リハビリを重ねても利き手は自由に動かない。しかし、音楽への思いが消えることはなかった。

 翌年、イギリスの作曲家フランク・ブリッジの曲に出合った。右腕を第1次世界大戦で失った親友のピアニストに捧げた旋律だった。譜面を見て「左手だけで音楽ができるんだ。また弾ける」。心が沸き立った。

 2日後、作曲家間宮芳生さんに左手のための曲作りを依頼。04年5月から、日本の5カ所での復帰コンサートに臨んだ。「世界中を見ても、左手だけで弾ける曲は本当に少なかった」というが、今では国内外の作曲家が舘野さんに捧げた曲は100曲を超えている。

 「『生きてるんだ』っていう実感は、僕にとっては音なんですよ」。毎朝、ピアノを弾くたびに思う。「あー、音が立ち上がって、広がっている。生きた一つの音が響いて…。それは、フィンランドの湖が光や風を受け、一瞬一瞬で姿を変えるみたいで」

 コロナ禍で昨年2月からコンサートが中止・延期になり「何もできない時期はつらかった」という。昨年秋から再開し「お客さんと音楽を通じた気持ちの交流ができてありがたい。自分が生きている感じがある」。

 今こそ、音楽が求められているときだ。「お客さんの反応が全然違う、今までとは。喜びや感動は生きる力になる。音楽は決して不要不急じゃない」。珠玉の響きを神戸の街に届ける。

■11月3日、神戸でコンサート

 コンサート「舘野泉~こころの音楽~」(神戸新聞社、神戸新聞文化財団主催)は11月3日、神戸市中央区の神戸新聞松方ホールで午後3時開演。バッハ(ブラームス編)「シャコンヌ」、スクリャービン「左手のための二つの小品 作品9」の「前奏曲」と「夜想曲」、山田耕筰(梶谷修編)「赤とんぼ」、光永浩一郎「サムライ(舘野泉に捧ぐ)」などを奏でる。音楽への情熱を語るトークも。入場料(全席指定)は前売り一般4300円ほか。松方ホールチケットオフィスTEL078・362・7191

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