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掛け替えたばかりの店名看板の前で新事業への挑戦を語る太田直さん=神戸市兵庫区上沢通2
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掛け替えたばかりの店名看板の前で新事業への挑戦を語る太田直さん=神戸市兵庫区上沢通2
野菜くず破砕機の部品を示す蓬萊正元さん=神戸市西区玉津町今津
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野菜くず破砕機の部品を示す蓬萊正元さん=神戸市西区玉津町今津

 「何があっても、牛のよだれのように、細く、長く商売を続ける」

 神戸市兵庫区で焼き肉店を営む太田直さん(44)は4度目の緊急事態宣言が明けた今月1日、新たな店名「牛のよだれ」を掲げ、再スタートを切った。逆境をばねにしたい、との思いを込めた。

 神戸・元町の居酒屋を含め、2店舗の経営は順調だった。仕事帰りの勤め人に訪日観光客も加わり、店には客があふれた。

 余勢を駆って東京進出を計画。だが、都心部で出店契約を結ぶ直前、コロナ禍で白紙に戻った。

 「契約していなかったのが不幸中の幸い」と太田さん。神戸の2店も度重なる休業や時短要請で売り上げは激減。休業中の居酒屋は今年11月に店を閉じる。

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 苦境の中、太田さんは焼き肉店の未来像を考えた。外食需要はコロナ収束後もすぐには戻りそうにない。ピンチをチャンスに変える手はないか-。

 「在宅勤務の普及で、都市部よりニュータウンへの出店は魅力を増している」「インターネット通販なら、炭火焼き肉を家でも楽しめる」

 構想をめぐらせている時、目に飛び込んだのが、国の「事業再構築補助金」だ。

 何より魅力なのが補助額の大きさだった。業態の転換や新分野への進出など、コロナを機に思い切った展開を考える事業者が対象で、1社当たり最大1億円が支給される。

 腹を決め、申請した。

 兵庫区の店は通常営業に加え、焼き肉の食材をインターネットで販売する。2階にキムチなどの総菜加工場を新設し、急速冷凍庫などの設備をそろえる。12月には総菜と精肉のセット販売を始め、同市西区のニュータウンに2号店も出す。

 事業費は約3千万円。その半分が補助金だ。兵庫県や神戸市の小口のコロナ対策助成も活用してきた太田さんは「中小の飲食店がこの金額を使える制度は他にない。上限が数百万円の補助では、今回の構想は無理だった」と語る。

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 飲食業に比べてコロナ禍からの回復が早いとされる製造業だが、苦戦を強いられる中小企業は多い。

 神戸市西区で金属加工業「蓬●精工」を営む蓬●正元さん(47)も、昨年は大手メーカーからの下請け受注が激減した。大手の生産拠点が海外に移転して減少傾向にはあったが、これほどの落ち込みは2015年に父から経営を引き継いで以来、初めてだ。

 同社は20年ほど前から大手の下請けと並行し、食品工場に野菜くずの破砕機を納める。出荷は年に数台というニッチ(隙間)分野だが、タマネギの皮をうまく処理できると評判だ。

 蓬●さんはこの事業を伸ばそうと事業再構築補助金を申請し、採択された。

 金属を削って成形する装置は数千万円と高額で、普段なら設備投資に二の足を踏む。だが、今なら3分の2を補助金で賄えた。

 新たな装置で、野菜の処理能力を従来の2倍に高めた新型機を作る。5年後に年間2台のペースで生産し、7人いる従業員を2人増やす計画だ。

 蓬●さんは「ゆっくりだが身の丈に合った成長を目指す。補助金は雇用増などで地域に還元したい」と話した。(高見雄樹)

【事業再構築補助金】新型コロナウイルスの影響が長期化する中、国が設けた経済対策の目玉の一つ。本年度は約1兆1千億円の枠があり、2回の募集で全国約4万3千社が応募、約1万7千社が採択された。兵庫県内では約2千社が応募し、816社が助成対象になった。今月中に4回目の公募が始まり、年明けの5回目が本年度で最後の予定。補助額が大きいため、企業の申請を支援して報酬を得る民間コンサルタントもおり、「補助金ビジネス」化を危惧する声もある。

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