新型コロナウイルス禍で、介護業界の苦境が深刻化している。感染を防ぐために通所を中心に利用控えが相次ぎ、昨年の介護・老人福祉施設の倒産は全国で118件と過去最多になった。一方で現場は慢性的な人手不足に悩み、人材の高齢化も進んでいる。衆院選では各党とも処遇改善を掲げるが、賃金だけにとどまらない課題も見え隠れする。(広畑千春)
「えっ」。まさかのボーナス減に神戸市内の介護施設に勤める介護福祉士の男性(35)は言葉を失った。
コロナ禍で職場では厳重な感染予防対策をし、私生活でも外食を控えるなど徹底してきた。だが、利用者減で事業所の経営は悪化。さらに職員20人のうち3人が退職予定と聞かされた。
国は介護人材を確保するため、報酬増につながる処遇改善加算を行っているがその実感はほとんどない。職員も入っては辞めていく。
「現場は綱渡りなのに、医療従事者のように社会から“感謝”を伝えられることもなく、クラスター(感染者集団)が出れば『あんたのとこか』と疑われる。それで給与減じゃ、モチベーションをなくしますよね」と力なく笑う。
公益財団法人「介護労働安定センター」(東京)の昨年度調査では、一般介護職の賃金は月平均約24万3千円。国は2019年に「勤続10年以上の介護福祉士の賃金を月額8万円増やせる額」の処遇改善加算を行い、事業所内での配分ルールも緩和した。それでも全産業平均(月約30万8千円)に比べて低い。また、実際にこの加算を行った事業所は6割にとどまっているという。
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神戸、兵庫県明石市内で訪問介護やデイサービス事業所などを運営する「セラピット」(神戸市西区)の大浦由紀社長は「処遇改善加算の要件は非常に細かく、中小事業者ではそれをクリアするための経費が逆に経営を圧迫することもある」と指摘する。
ヘルパーに介護福祉士、作業療法士、理学療法士、看護師ら多くの人材をそろえ、多彩なサービスを提供するが、コロナ禍で利用者が減っても質は落とせない。「経費は増え、利益だけが飛んでいく。倒産はもっと増えるだろう」と話す。
事業所が思うように給与を上げられない中、少しでも良い待遇を求めて転職を繰り返し、「より上を」と看護師などを目指す人も多い。背景にあるのは医療職と介護職との社会的格差だ。
衆院選では「給与算定の基になる公的価格の抜本的見直し」(自民党)、「事業者に支援金、従事者に慰労金支給」(立憲民主党)など、各党が介護人材の確保に向けた処遇改善を掲げる。「介護は本来、相当にプロフェッショナルな仕事だが、スタッフの高齢化も激しい」と大浦社長。「賃金だけでなく社会での評価が高まるような制度設計があれば、胸を張って介護職を選ぶ若い人たちが増えるのでは」と話す。
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