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1月7日に開幕するリーグワン1部の参入チーム(リーグワンのウェブサイトより)
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1月7日に開幕するリーグワン1部の参入チーム(リーグワンのウェブサイトより)

 ラグビーの新リーグ、リーグワンの開幕(1月7日)まで2カ月あまりとなった。リーグ側は「地域密着」を打ち出し、コベルコ神戸スティーラーズなど、参入チームはホストエリア(ホームタウン)をチーム名に取り入れたが、企業名も使える選択肢を残したことで、最長29文字のチーム名も。長すぎる上に「東京」を冠したチームが五つも生まれ、逆に「地域密着」の理念が薄まりかねない状況になっている。

■長すぎるチーム名

 前身のトップリーグ(TL)は「企業+愛称」のチーム名だった。そこから地域重視への転換を図ったが、大半が「地域+企業+愛称」に。同じホームタウン制をとるサッカーJリーグの「地域+愛称」より「企業」が多い分、名称が長くなった。1部の最長はNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安の29文字。ファンは何と呼ぶのだろうか。

 報道機関も、チーム名の扱いに戸惑った。新聞紙面で正式名称を載せる場合もあるが、多くは文字数の関係で略称が基本になる。順位表や記事の見出しも同じ考え方だ。

 神戸新聞は当初、地元チームで、神戸製鋼が母体のコベルコ神戸スティーラーズを「コベルコ神戸」と略したが、今後は「神戸」としていく。

 というのも、神戸新聞は日々、自社原稿と国内外を取材する共同通信の配信記事などでスポーツ面をつくっている。各種チームの略称は、共同通信とばらつきが出ないように、同社の基準に準じており、地域密着を打ち出すリーグワンの理念に合わせる方針を受け、「神戸」に切り替えた。

 問題は「東京」を掲げるチームが五つもあることだ。

 東京サントリーサンゴリアス▽クボタスピアーズ船橋・東京ベイ▽リコーブラックラムズ東京▽NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安▽東芝ブレイブルーパス東京。いずれも日本を代表する大企業がチームを運営し、結果的に日本経済の「東京一極集中」が映し出された。

 さて、共同通信による略称はどうなったか。

 東京サントリーサンゴリアスは「東京SG」、リコーブラックラムズ東京は「BR東京」、東芝ブレイブルーパス東京は「BL東京」。クボタスピアーズ船橋・東京ベイは「東京ベイ」となり、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安は「浦安」となった。名称が定着するまで、ファンも報じる側も、しばらく時間がかかりそうだ。

■首都圏に集中

 リーグワン1部は「東京」の5チーム以外にも首都近郊に3チームが集まる。

 埼玉県の埼玉パナソニックワイルドナイツ▽神奈川県の横浜キヤノンイーグルス▽千葉県のNECグリーンロケッツ東葛。実に1部の66・7%(8チーム)が1都3県を本拠地とする。ちなみに、プロ野球は41・7%(12チーム中5チーム)、サッカーJリーグ1部は35%(20チーム中7チーム)となっている。

 残る4チーム(1部)は東から順に、静岡ブルーレヴズ▽トヨタヴェルブリッツ▽NTTドコモレッドハリケーンズ大阪▽コベルコ神戸スティーラーズ。チーム名を日本列島の地図に載せると、神戸が西端となり、埼玉が北端となる。プロ野球やJリーグ1部と比べて地域の広がりに欠ける。人口比やマーケットの大きさを考えれば、東京周辺にチームが集まるのは当然だが、ラグビー界の未来を考えると、気にしておくべき数字が足元にある。

 兵庫県体育協会の統計資料によると、兵庫県内の高校ラグビー部に在籍する男子生徒は1996年度の1288人から2021年度に749人まで減少。少子化の影響が考えられるが、四半世紀で4割以上も競技人口を失い、19年のワールドカップ日本大会の盛況も歯止めとなっていない。

 日本有数の都市部である神戸・阪神間を抱え、多数のラグビースクール、そして名門の「神戸」が存在しながら、兵庫県のラグビー界は苦境に立つ。子どもたちの目標となるトップチームがない地域の厳しさはそれ以上だろう。首都圏へのチーム偏在は人材発掘の面から、リーグワンがミッションの一つとする「日本ラグビーの世界への飛躍」の障壁とならないだろうか。

■看板の掛け替え

 リーグワンのチーム名に話を戻す。

 多くのチームが企業名を残す一方、ヤマハ発動機を母体とする静岡ブルーレヴズは、企業名を完全に取っ払った。コベルコ神戸スティーラーズは、日本選手権7連覇など栄華を極めた神戸製鋼の看板を外し、同社グループの統一ブランド「コベルコ」に切り替えた。多くの人が慣れ親しんだ「神鋼」の呼称はなじまなくなった。

 この点について、神戸製鋼の岡野康司ラグビーセンター長は社内議論を振り返り「企業名はオプションで認められていたが、神戸を前面に出したチーム名にしようと落ち着いた」と明かす。9月には神戸市と事業連携協定(スポーツチームでは初)を結び、ホームタウンへの貢献を鮮明にしている。

■いかに地域に溶け込むか

 リーグワンはトップリーグの日本協会主導から一転、Jリーグと同じようにチームに興行権が移る。集客のため、以前よりも地域貢献活動に励み、ファンが喜ぶグッズ製作が求められる。

 大半のチームは母体企業が運営を担い、「神戸」は社内のラグビー部支援室をラグビーセンターに格上げした。人員も増強し、企画管理▽営業マーケティング▽チーム運営の3グループに分かれて、ファンサービスをはじめとした事業を展開する。

 今後試されるのは、チームの勝利を当然として、本業で培った知恵や経験を生かした経営力、地元住民に愛される力だ。プロ野球やJリーグ以外にも、バスケットボール男子のBリーグなど、地域に根ざそうとするライバルは多い。細やかに地域に入り、差別化を図ることが「戦国時代」を生き抜く肝になるだろう。(有島弘記)

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