下水から新型コロナウイルスの痕跡を見つけ出し、感染の広がりを予測する研究に、神戸市健康科学研究所(神戸市中央区)が取り組んでいる。データの分析を始めて4カ月ほどだが、研究が進むと感染者が増える兆候を早めに捉えられる可能性がある。職員は通常のPCR検査業務の合間を縫って分析を重ねており、下水の新たな活用法として近く成果をまとめる。
新型コロナウイルスは人の便からも排出される。ウイルス中の遺伝子は薄まりながら下水の中に存在し続けることが分かっている。遺伝子の増減を追えば、下水が流れ込む地域の感染状況をつかむことができる。
市下水道部と連携して昨年末から週に1回、市内6カ所の下水処理場のうち複数箇所で、流れ込んだ水を採取している。今年2~5月の分析結果からは、下水中の遺伝子量と患者数の増加が同じような傾向をたどることが分かった。
分析を担う谷本佳彦研究員(33)は「まだ調査段階だが、感染者が増える兆候を少し早く捉えられている可能性がある」と話す。下水には、発症前に体外に出たウイルスなど微生物の痕跡が含まれるためだ。現状では発症して病院で受診し、検査した後の人数しか把握できない。
谷本さんによると、ウイルスの検出方法は、感染の有無を判定するPCR検査とほぼ同じという。大きな違いは一つだけ。人の鼻の奥や唾液から採った検体は、活発に動くウイルスを静める「不活化」という処理をする。一方、下水にはウイルスの痕跡しかないため、濃縮して「復元」することが必要で、この作業が分析の鍵となる。下水を介して感染が広まることはない。
こうした研究は、濃厚接触者らを対象にした日々の検査業務と並行して続けている。第4波の4~5月が最も忙しく、作業は中断を繰り返した。現在は午前中に下水の分析、午後に検査に当たっている。
下水から感染症の広がりを予測する研究は「下水疫学」と呼ばれ、感染者の多かった欧米を中心に世界で進んでいる。国内では日本水環境学会がウイルス遺伝子の検出マニュアルを公表。谷本さんはこうした情報を基に、神戸に最適の分析手法で研究を進めている。
同研究所の岩本朋忠感染症部長(56)は「将来はノロウイルスなども含めた感染症全般に応用できるよう、技術を確立したい」と話した。(高見雄樹)
【下水疫学】下水に含まれるウイルスなど微生物の痕跡を計測し、感染症の発生や流行状況を把握する疫学調査の手法。新型コロナの感染者が多かった欧州では早い時期から活用されたが、国内では濃縮手法の確立などに時間を要した。最近ではビジネスにも広がり、塩野義製薬(大阪市)は6月、自治体や病院向けに調査サービスを開始。島津製作所(京都市)の子会社も、高齢者施設などの下水から感染者を早期に発見する仕組みを提供する。
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