阪神・淡路大震災で倒壊したダイエー西神戸店(1961年開業)の後継店「ダイエーグルメシティ新長田店」(いずれも神戸市長田区)が12月末で閉店することが5日、分かった。震災5カ月後に周囲の店とともに仮設共同店舗で営業を再開し、地域とともに歩んできたが、復興事業で整備された再開発ビルに移って以降、集客が低迷。西神戸店時代を合わせて60年の歴史に幕を閉じる。
西神戸店はダイエーの創世期に全国6店目、県内3店目として、JR新長田駅南の大正筋商店街内にオープン。近隣の商店主によると、ダイエー創業者の故中内功氏が店頭に立つこともあった。庶民のスーパーとして親しまれたが、1995年1月の震災で全壊し、火災の被害にも遭った。
同年6月、地元の商店主らが立ち上げた共同仮設店舗「復興元気村パラール」で営業を再開。99年、同駅南の約20ヘクタールを対象に神戸市が整備した再開発ビル「アスタくにづか1番館」に移り、2003年にグルメシティ新長田に店名を変えて同3番館に移転。売り場面積約1700平方メートルの核テナントとして食料品を中心に販売してきた。
一方、「アスタ-」は商業床が多く売れ残り、集客が低迷。高額の管理費負担が入居した商店主らを圧迫し、「復興災害」と批判もされてきた。
ダイエー広報によると、グルメシティ新長田店は同業店舗との競争激化で売り上げが低迷したことが打撃になり、閉店を決定。担当者は「長年にわたり地域の皆さまにご愛顧いただいた。感謝したい」と話した。
「アスタ-」にある商業床の賃貸管理を担う株式会社「くにづか」によると、ダイエーとの賃貸契約は来年1月末まで。スーパーを中心に数社と交渉中だが入居は決まっておらず、同社は「できる限り早く誘致したい」としている。
3番館の商店主の一人は「震災からはい上がってきた店だけに残念」と閉店を惜しんだ。一方で、後継テナントが決まらない状況に危機感を抱き、「年末商戦を控えて不安。核テナント誘致は再開発を担った神戸市にもしっかり責任を持ってほしい」と訴えた。(藤井伸哉)
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