ジェンダーギャップ(男女の格差)解消に取り組む兵庫県豊岡市は22日、家庭内の性別役割分担の実態と意識に関する独自調査の結果を発表した。子育て世帯では、家事・育児の時間が、女性は男性の3倍に上り、この実態について男性の8割が現状のままでいいとした。一方、女性は5割が「もっと夫が担うべき」と回答し、男女で認識に大きな差がみられた。市によると、自治体が家庭における男女格差の認識を調べるのは全国でも珍しいという。
同市は都市部などに流出した若い女性が戻ってこないことに危機感を抱き、2019年度から企業や役所の労働環境の改善など格差解消に向けた取り組みを実施し、本年度から地域や家庭にも広げている。
調査は市民を対象に7~8月、インターネット上で実施。有効回答数は30~50代を中心に626人(男性283人、女性339人、その他4人)だった。
このうち高校生までの子どものいる世帯では、平日1日の仕事関連の時間が男性11・3時間、女性10・3時間と1時間差だったが、家事・育児関連時間は、男性2・1時間、女性6・3時間と4・2時間の差があった。
妻が多くを担っているとの認識を男女とも5割が持っていたが、「夫と妻で平等に分担している」と回答した男性も21%いた。同様の回答をした女性は11・8%にとどまった。
家事分担への認識については、男性は「適当だと思う」が41%、「適当かどうかは分からないがこのままでいい」が34・3%だった。これに対し、女性は「もっと夫が担うべき」が47・9%を占め、男女間で隔たりがみられた。その理由として不公平感の他に、「ライフスキルとして必要」や「人間的成長につながる」などが上がった。
分担を決めた理由を問う項目では、「特に決めたわけではないがなんとなく」との回答が男女とも半数を占めた。一方、話し合いで決めたのは男性6・7%、女性4・9%にとどまった。その他、「夫の仕事が忙しいから」「夫の家事スキルが低いから」「夫の育った家庭環境や夫の親の考え方の影響」などと続いた。育児分担についても同様の傾向だった。
東京都での実態調査に関わり、豊岡市の調査にも協力した東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部チーフコンサルタントの塚越学さんは「男性は家事・育児の多くを女性が担う現状を容認する傾向が強いが、夫婦の話し合いで決めたわけではないところに大きな課題がある」と指摘する。
出産・育児による働き方への影響についても、女性の6割が退職や勤務時間の短縮などとした一方、男性の8割が影響はなかったとした。男性の育児休暇の取得は希望期間通りに取得した人は17%にとどまり、子どもの年齢が低い人ほど取得率が高かった。
市は今後調査結果を市広報などで公表する予定。「可視化することで意識の向上や、男性の家事スキルアップ講習など具体的な取り組みにつなげていきたい」とする。(石川 翠)
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