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コロナ禍で困窮する女性の相談に乗る支援団体スタッフ=兵庫県内
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コロナ禍で困窮する女性の相談に乗る支援団体スタッフ=兵庫県内
神戸新聞NEXT
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 神戸新聞に先日、1本の電話がかかった。「相談先を教えてほしい。将来が見えなくて…」。暗く沈んだ女性の声だった。コロナ禍で失職してから、半年以上仕事が見つからないという。感染が一段落したとはいえ、オミクロン株や第6波への懸念から社会には依然、余裕がない。働く女性の自殺が増えたという国の統計は、立場の弱い人々にしわ寄せが及んでいることの裏返しだ。「ふっと消えたくなることがある」。時折涙声になる女性の話に耳を傾けた。(末永陽子)

■県内在住の41歳、給付金で生活つなぐ

 女性は兵庫県内在住の41歳。20代の頃から非正規雇用として働いてきた。数々の職場を経験してきたが、常に当初の契約期間満了まで働けたといい、「リーマン・ショックの時も私自身は影響はなかった」と振り返る。

 昨年7月。3~4年勤めていた会社から、契約の非更新を初めて告げられた。雑貨の企画製造を営む会社で、コロナ禍のため観光客向け商品の売り上げが激減したという。

 以降は生活が一変した。派遣会社から別の会社を紹介されても、すんなりと決まらない。何とか大阪府内のメーカーに働き口を見つけ、派遣社員として勤め始めたが、収入は半減。その会社も今年3月、契約満了の1カ月前に解雇された。

 実家とは折り合いが悪く、もう何年も顔を見せていない。こんな話ができる友人もいない。給付金などで生活をつなぎつつ「年齢不問」の求人に応募し続けたが、すべて断られた。「最初から年齢を理由にはじかれる会社も多かった。バイトの面接すら年齢で断られた」。女性は声を詰まらせた。

 生活の固定費を抑えるため、家賃の安いアパートに移ろうと考えた。しかし、引っ越し料金の見積もりを見て諦めた。家賃の引き落とし日が来るのが怖く、ハローワークなどに行く電車賃さえもったいないと感じるようになった。

 「ふっと、いなくなりたい」「消えたい、楽になりたい」

 気づけば、そう思うことが増えてきた。このままだとおかしくなる-。そう考え、新聞社に電話したという。

 複数の相談先を伝えた。声のトーンが、少し上がった気がした。「相談しても何も変わらないかもしれないけど、前を向くきっかけがほしくて」

■支援のNPO危機感

 兵庫県内の支援団体にも、支援を求める女性の声が相次いでいる。

 NPO法人ウィメンズネット・こうべには昨年度、千件を超える相談が寄せられた。解雇され「社会に必要とされていない」と嘆く50代単身女性や、収入が激減し「息子と死にたい」と泣くシングルマザー、「家に居場所がない」と悩む高校生や大学生…。生活困窮や孤立に悩む人が目立ち、相談内容は深刻化しているという。担当者は「今日を生きるので精いっぱいな女性が多い」と話す。

 同ネットは神戸市の事業を受託し、毎月生理用品や食料を配布している。12月は18日に神戸市男女共同参画センター・あすてっぷKOBE(同市中央区)で行う。

 政府は、コロナ禍の影響を受けた困窮世帯に支給する「生活困窮者自立支援金」や、減収した人向けに無利子で貸す「特例貸し付け」などの支援策を打ち出している。ただ、支援策にたどり着けず、追い詰められる人も少なくない。

 政府の自殺対策白書によると、2020年の自殺者は前年比4・5%増の2万1081人で11年ぶりに増加に転じた。男性は0・2%減だったが、女性は15・4%増えた。

 厚生労働省は「非正規雇用の割合が高い女性が、コロナ禍による失業や減収などに影響を受けた」と分析。20年の働く女性の自殺者は1698人で、前年までの過去5年(15~19年)の平均値と比較すると、28%増えたという。

    ◇

 厚労省は自殺対策などの情報をまとめたサイト「まもろうよ こころ」で、電話やSNSに対応した複数の相談窓口を紹介しています。

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